大河ドラマ「いだてん」の第26話「明日なき暴走」の、あらすじと感想をお届けします。
大蔵大臣・高橋是清から直に資金援助を取り付けたパワフルな田畑政治。
これが追い風となり、アムステルダム大会へ邁進する体育協会と田畑・河野たちは盛り上がりを見せるのですが…。
実際のアムステルダム大会の成績までが語られる、第26話です!
大河ドラマ「いだてん」26話のネタバレ!
選手団結成、人見絹枝も!
6万円の札束を体協に積み上げたマーちゃんこと田畑政治。
野良河童のごとく高橋是清大臣にまくしたて、若者の力を盛り立てることが国の豊かさにつながると説得したのだ。
総額10万円の予算が立ち、43人の選手と監督を含めた56人の編成を考える体協の先生たち。
水連本部では、政治を中心に出場選手の発表が行われる。
100m自由形にはベテランの高石勝男、200m平泳ぎには新人の鶴田義行などと、11人の選手と田畑政治を監督に選手団を結成!
…と行きたいところだったが、朝日新聞政治部の政治が、上司・緒方部長から2か月半の洋行を認めてもらえるわけがない。
松澤水泳監督や運動部の尾高記者に託すほかなく、地団太を踏むのだった。
しかも浜松の実家から、「兄危篤」との電報まで届いてしまう。
(今回は「人見絹枝物語」と打ち上げる、高座の志ん生師匠と五りん)
人見絹枝は、復興運動会で金栗四三が嘉納治五郎先生に紹介したのち、二階堂体操塾に入校。
世界記録を出すなどいい成績を上げるものの「化け物」「バッタ」との罵りに不幸を感じていた。
“女子はさっさと子を産め”とのご時世にめげず、「メダルも結婚もどちらも手に入れなさい」と励ます二階堂トクヨ先生。
トクヨは、品・恥じらい・負けん気を備えた絹枝に“女子スポーツの未来”を駆ける気になったのだ。
絹枝はストックホルムの国際陸上大会で総合優勝。
100m走は12秒4の世界記録を出す。
オリンピックの正式種目に女子陸上が加わることが新聞に発表され、張り切る播磨屋、シマ先生を思い出してしんみりする増野と金栗四三だった。
体協では「女子の体の構造はスポーツには向かない」と及び腰の野口達が、河野一郎記者に及び腰を責められていた。
四三は絹枝を応援したい気持ちと、「期待とプレッシャーは女性に耐えられるか」との思いで複雑だった。
絹枝の得意な三段跳びは女子種目にないので、勝てる種目があるか否か危ぶむ声もある。
岸が「勝ち負けだけが目的ではない」と正論をいうが、政治は一刀両断。
「いい加減勝てよ」という国民の希望を打ち上げると、治五郎先生がテーブルを叩き「亡きシマくんの意志を継いでいる絹枝は絶対勝つ!」と言い張る。
「そんなら」と政治が絹枝の名前にマルをつけ、出場が決定する!
「大和魂を発揮して精いっぱい戦ってきます!」と取材に答える、絹枝。
「精一杯、あくまで女性らしく戦ってきなさい」と絹枝にヘアピンと洋菓子「シベリア」をプレゼントするトクヨ先生だった。
日本選手団出陣も、苦戦?!
昭和3年6月。
シベリア鉄道に乗って選手団は出発する。
“アネゴ”と呼ばれ、洗濯や縫物の手伝いをさせられてしまう絹枝だ。
(…と、高座で面白く語る志ん生師匠と五りん)
昭和3年7月28日、快晴の開会式に多人数で臨んだ日本選手団。
アムステルダム大会の聖火台に火がともり、いよいよ開幕だ。
現地から時差8時間の日本では、現地の尾高記者の記事を、モールス信号で受け取り、文字に起こすシステムだ。
写真は2週間かかるので、あらかじめとった写真で記事を構成する。
翌29日は、陸上競技開幕だ。
みんなの期待を一身に背負って出場のトップを飾るのは絹枝。
しかし…。
「間違いだろ!」と怒鳴り、呆然とする河野記者。
人見絹枝は100m予選に4位で落第してしまったのだった。
1人泣き崩れる絹枝だ。
新聞を読んで「世界の壁ってのは、崩れないな」と落胆する播磨屋と増野。
「ニッポンは100年たっても短距離走では勝てない」との三島弥彦の言葉を思い出す四三だ。
次々敗走する陸上選手たちの嘆きで埋まる控室。
「明日800mに出てもよろしいでしょうか?」と絹枝が決意する。
野口監督たちが反対するものの、主張は変わらない。
「男の真似をしてもだめだ」と思われなくない、日本のスポーツ女性の希望を背負っての気持ちだ。
ついにうなずく野口と作戦を立てる絹枝達の横で、尾高記者が「人見800mにエントリ」の記事を送る!
「盛り上がって来たぞ!」と朝日新聞社内。
人見絹枝に、快挙続く!
「私の体に、どうか明日1回走れる力を与えてください」と願う絹枝。
8月2日、ついに800mの決勝戦だ。
短距離走風にクラウチングスタートを切り、いきなりトップに出てしまう絹枝に「アネゴ飛ばすな、下がれ!」と日本選手団が叫ぶ。
速度を落として6番目につけるが、なかなか順位が上がらない絹枝。
「アネゴ腕を振れ!」との声援が飛ぶ。
速度が上がり、2位にまでつけ、トップのラトケ選手を追う展開だ!
…ついに「人見。力走、銀メダル」の記事が、日本に届く。
河野を中心に万歳に湧く朝日新聞。
2分17秒4の記録は世界新記録だった。
抱き合う田畑と河野に、号外を緒方部長が指示する。
播磨屋では四三と増野が抱き合って、娘・リクに記事を説明する。
男性選手も織田幹雄選手が三段跳びで金メダルをゲットしていた。
「陸上ニッポン」ならば、今度は「水上ニッポン」だとのプレッシャーを感じる田畑政治。
しかし、水連も快進撃だ。
鶴田選手は200m平泳ぎで金メダル、800mリレーで銀メダル、高石選手が100m自由形で銅メダル獲得との成果だった。
「水泳がとったぞ!」と朝日新聞では政治を胴上げする盛り上がりを見せるのだった。
日本体育の未来
緒方部長が呼び出しをかけ、バーにつれていく。
水泳がまだまだアメリカに負けを取っていることを騒ぐ政治に、部長が結婚を勧めるが…。
兄が肺病で死んだことを言い、早死の家系だから嫁は要らないと告げる政治。
実家の母は「一度死にかけた命はお国のためにデッカイことをするのに使え」と言われて帰京したのだった。
「(若くして)死ぬ前に、若者のために何でもやる!」と盛り上がっている政治だ。
政治は国府津まで選手団を出迎えに行き、手ごたえを探る。
水泳選手たちに抱き着き、メダルを見せてもらう政治。
「確かにアメリカは強い、でもこの次はもっとやる!」と鶴田、
「奴らも同じ人間、4年間みっちりやればきっと勝てる」と高石。
「世界一を目指すぞ!」と、意気の上がる政治だった。
そこに人見絹枝も現れる
「あんたやっぱりバケモンだね!」と気軽にホメる政治に、ぎこちなくも笑顔を見せる絹枝だ。
「“六尺さん”の自分も、世界に出ればなんら特別ではなかった」と、ラジオインタビューでシマ先生への恩を語る絹枝。
「勇気を出して走りましょう、飛びましょう、泳ぎましょう!」との音声を街頭で聞き、感動して周囲を巻き込みバンザイする増野だ。
銀メダルの重みを感じ、「おめでとう」を言うトクヨ先生。
「ご幸福ですか?」との問いに、今度は絹枝も「はい!」と答える。
次は結婚だという先生に、絹枝は「勇気づけられる人がいる限り世界中を駆け巡ります!」と話す。
その笑顔に納得するトクヨ先生だった。
満面の笑顔で、後輩たちとダンスを踊る絹枝。
しかし3年後、24歳の若さで亡くなってしまう運命なのだった。
大河ドラマ「いだてん」26話の感想
人見絹枝の、アムステルダム大会の100m走で泣き崩れていた悔しさの演技、またプレッシャーに打ち勝って800m走の銀メダルをトクヨ先生に持ち帰った絹枝の笑顔が最高でした!
人見絹枝役の菅原小春はダンサーが本業のことですが、身のこなしだけでなく、表情もとても素敵でしたね。
洋行できずに東京で騒いでいる設定の田畑政治が、かすんでしまうくらいでした!
次回の副題は「替り目」とのこと。
第2部開始から3話にして、いよいよ本格的に金栗四三の出番は終盤に向かうということでしょうか。
にぎやかな熊本の風景も見納めかと、名残惜しいですね。
感動の「人見絹枝物語」、ハンパないプレッシャーに立ち向かう激動の人生!
最初の体協の、「女性にプレッシャーを負わせるのはいかがなものか」との発言はどこに行ったのか。
人見絹枝が背負っていた負担は、ストックホルム大会の金栗四三にも劣らない大変さだったと思います。
ドラマとはいえ、男性選手たちにまるで母親かメイドのようにコキ使われ、大会が始まると野口にまで励ましという名のプレッシャーをかけまくられ。
トクヨ先生からも女子体育を一手に背負わされての出陣でしたね。
800mの銀メダルは快挙でしたが、そのために命を縮めたのでは…と考えてしまいました。
肋膜炎から肺炎・結核を併発して死に至ったとのことですが、どうやらお礼参りや講演、啓発活動での疲労も要因らしいんです。
「女の子にスポーツをやらせるのは危険だといわれないだろうか」と最後まで心配していたとのことで、まさに女子スポーツに身を投じた、感動の人生でした。