いだてん東京オリムピック噺

大河ドラマ「いだてん」の第27話「替り目」の、あらすじと感想をお届けします。

アムステルダム・オリンピックではメダル6つ、陸連よりも成果をあげて意気揚々の水連と田畑政治。
競技用プールにアメリカとの大会開催にと夢が膨らんでいます。

一方、7歳年長の金栗四三はとうとう引退を決意する様子です。
それではあらすじを見ていきましょう!

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大河ドラマ「いだてん」27話のネタバレ!

躍進する水連と政治

昭和36年の志ん生師匠宅。

野球の長嶋選手に夢中になっているちいちゃんたち女性陣をよそに、五りんや今松は「師匠にとってタイ焼きは特別な存在」などと話していた。

実は昭和2年、孝蔵は元兄弟子・万朝の仲介で「柳家東三楼」として寄席に出ていたものの、師匠・柳家三語楼の着物を質に入れて遊んでしまい、破門。

長男・清が生まれたのに一文無しで、産婆さんにお祝いで配るタイ焼きすら、逆に恵んでもらう状況なのだった。

・ ・ ・

めでたい結果だったオリンピック・アムステルダム大会に「メダルは水泳が6つに、陸上が2つ」と、岸体協会長は水連と田畑政治をホメる。

「時代が嘉納に追いついたんだよ!」とひねくれる嘉納治五郎先生だ。

水連では田畑政治が、理論家の松澤一鶴と女性に人気の銅メダリスト高石選手、初金メダリスト鶴田義行選手を相手に合理的な作戦を考えていた。

『作戦その1:監督を決めて効率的な練習も目指す』

総監督・田畑、監督・松澤一鶴、助監督・野田一雄と決まり、アメリカに必勝の「メダルガバガバ大作戦!」を打ち上げた政治だ。

その急ぎぶりに「まるで明日にでも死ぬみたい」とつい呟く松澤だった。

『作戦その2:神宮プールの建設』

岸に建設費をねだると、ポケットマネーとして5000円を供出してくれ、相談にのってくれる。

「これからは見せるスポーツを!」とアメリカとの競泳会を企画し、ロサンゼルスオリンピックの前に弾みをつける作戦に、岸は治五郎先生と同じような匂いを感じ、全面協力を申し出るのだった。

四三の進退

38歳ながら、まだ走っている金栗四三。

唐突に実次が9歳になった長男・正明を連れて上京、播磨屋に遊びに来る。

17年ぶりの東京での再会に、浅草十二階の思い出などを語り合う2人。

熊本に帰ってくるよう兄に勧められ、人生の岐路を迎えた“いだてん”だった。

それからすぐ、四三に『アニキトク』との電報が到着する!

四三の帰省は、実次の死に間に合わなかった。

急性肺炎とのこと。

父親代わりだった実次との、学校部屋騒ぎや父の死に目に励ましてくれたことを思い出す四三。

母親から、実次が治五郎先生への挨拶を済ませていたと聞き、「それは嘘ばい」と苦笑いする四三。

そこまでして自分を熊本に呼び戻したかったのか。

そこに池部の奥様とスヤが到着。

「張り合いのなかばい」と愚痴交じりで嘆く幾江は、少し足が悪くなった様子で、スヤが面倒を見ていた。

「今夜は、そばにおれ、死ぬまでお前のために頭を下げてくれた兄のために」と幾江は言うのだった。

「“とつけむにゃあ”は兄上の方じゃった」と呟きながら、潮時だろうかと兄の御遺体に語りかける四三だった。

・ ・ ・

一方、失職でゴロゴロしていた孝蔵。

納豆売りをやってみたがノリ気になれず、大量の売れ残りに「納豆を混ぜるためにあんたの女房になったのかい!」と、怒るおりん。

「だったら自分で売ってこい!」と酒をくらいつつ、「自分の世話を焼いてくれるのはかあちゃんだけだ」と、恩義は感じている孝蔵だった。

「すまないと思ってますよぅ」とのつぶやきを聞いてしまったおりんは、「高座に出てほしいんです」と涙を流すのだった。

東京の目標と、政治の夢

昭和5年春。

震災後の「帝都復興祭」が行われ、東京市長・永田秀次郎は15年後を目指しての企画を考えていた。

部下に「次々回のオリンピックはどうか」と勧められ、嘉納治五郎と相談する方向になる。

田畑政治の望んでいた神宮競技場のプールも完成。

こけら落としの極東大会で、16歳の前畑秀子が200m平泳ぎ日本記録の3分16秒8を達成し、政治は大喜びだ。

政治は日米対抗試合のスポンサーになってくれるよう、朝日新聞の社長に熱弁をふるい、自分と同じ浜松中学出身の宮崎康二選手を大いに宣伝する。

また「水上座談会」ということでラジオに選手を出演させることになったが、せっかくの番組なのに、政治が話し続けて何だか台無しの様子だ。

しかし、河西アナウンサーに自分が「32歳」であることを指摘され、歓喜で愕然とする政治。

「だましやがったな!」と、バーのママに早死にの占いが外れたことを打ち上げ、日米戦の予想を迫る。

ママが「アメリカが勝つ」と予想すると「それなら日本が勝つ!」と逆を信じる政治。

挙句、上司の緒方部長に「結婚したくなった」と、お見合いの口を求めるのだった。

元祖いだてん

金栗四三は、治五郎先生に帰省する旨を伝えていた。

「失うことは惜しい」と東京オリンピックの計画を語り、引き留めようとする治五郎先生。

しかし、決心が揺らがない四三に、治五郎先生は実次と講道館で会ったことを教える。

道場破りのていで訪ねてきた実次は、治五郎先生に跳ね飛ばされてから「いだてんの兄」と自己紹介。

本当に実次が治五郎先生に会っていたと知り、涙ぐんでお礼を言う四三だった。

退出しようとする四三と、訪ねてきた田畑政治がニアミスする。

オリンピックについて「一番の思い出は何ですか?」と四三に質問する政治。

何が一番か…と自分のオリンピック人生を振り返る四三。

ストックホルム大会での悲壮な「棄権」を思い出し、しかしあえて「紅茶とお菓子がおいしかった」と言う四三。

倒れて介抱された時に口にしたもののことだが…気づかずにあきれて「聞くんじゃなかった」と思ってしまう政治。

しかし、“元祖”は四三しかいないのは、本音では認めている。

「あれは本当にいだてんだ!」…そうつぶやいた政治の後ろには、まだ実は四三が!

慌てる政治に、四三は丁寧に「さようなら」と言いおいて、去っていくのだった。

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大河ドラマ「いだてん」27話の感想

四三の兄の死があまりにあっけなく、悲しむ気持ちの置きどころがないくらいでした。
でも、あえて嘉納治五郎先生と本当に挨拶し、そのことを生前語らなかった実次の漢気が、カッコよかったですね。
四三の去り際も、ストックホルム大会の思い出と一緒に、なんだか鮮やかでした。

今回は2つの「聞いてしまった」が楽しかったです。
孝蔵とおりん、政治と四三。
うっかり本音を聞かれた側の孝蔵や政治が逆ギレしている様子は、テンポの良い現代のお笑い風で、宮藤官九郎の脚本の面白さが伝わってくる感じでした。

ついに水連・田畑政治の時代!しかし時代の変動で、むしろ志ん生一家が気になる?

両主役が並んでいた「いだてん」ですが、いよいよ田畑政治に焦点を絞って語られるのか、と思いきや…。
時代は徐々に第二次世界大戦に向かっていくのですね。

オリンピックはロサンゼルス大会→ベルリン大会と続きますが、1940年の東京大会はいい方向まで進んだ後…中止になってしまいます。
これからの「いだてん」は、スポーツ界に政治や戦争が与えた影響から、当時の情勢を見ていく流れになりそうです。

それを踏まえて、庶民代表のように孝蔵とおりんたち家族の一代記もずっと語られているのですね。
全体を語る噺家・志ん生師匠の存在に納得した、第27回でした。

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