いだてん東京オリムピック噺

大河ドラマ「いだてん」の第28話「走れ大地を」の、あらすじと感想をお届けします。

相変わらず水泳アタマで張り切る田畑政治(阿部サダヲ)ですが、新聞社では特ダネを求められ、体協には理事の椅子を勧められます。

高橋是清を味方につけ、犬養毅にも気に入られた政治…しかし不穏な空気の中、日本は無事ロス大会へ進めるのでしょうか。

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大河ドラマ「いだてん」28話のネタバレ!

打倒アメリカの水上競技大会

田畑政治率いる水連は、昭和6年8月7日、日米対抗戦で水上競技大会を開催。
新品の神宮プールの客席は大歓声で、興行的にも大成功だ。
3日間にわたる熱戦で日本は圧勝だったが、満足はしていない政治。
ラジオ番組でも松澤監督を押しのけ「本番はロスなので日本にハンディキャップがある」などとシビアだ。
また、ベテラン選手勢が自由形100mの高石は宮崎という新人に負け、平泳ぎ200mの鶴田も15歳の小池に負ける結果だった。
松澤と政治はラジオの前でケンカになるが「女子は前畑が活躍!」という点では合致する。

アメリカのキッパス監督は「ロスでは絶対負けないからな“まっちゃん”」と言いおいていく。
「See you next time in L.A.!」と、タンカを切る政治だ。

一方、政治は大日本体育協会の理事に推薦されるが、「お断りします」と一刀両断。
「上司にもにらまれるし、ヒゲは偉そうだし」と言いたい放題だ。
しかし、嘉納治五郎には「昭和15年東京オリンピック開催」の夢を持っており、政治を会合に引きずっていく。
永田東京市長や陸上総監督の山本忠興に引き合わされる政治。
「立ち直った日本を世界に見せる!」
「日本の文化・精神を世界に持ち帰ってもらう、平和の祭典だ」
そう盛り上がる市長と治五郎先生に、目を丸くする政治だ。

ところが、不吉な事件が。
南満州鉄道の線路が爆発されたのだ。

満州事変と田畑政治

「当時の日本はバンザイ、中国を黙らせろ」との勢い。
(…と語る、昭和36年の志ん生師匠)

緒方部長は「戦争に発展するか否か」との一大事に、記者を投入して情報収取。
政治の『オリンピック応援歌募集」の広告記事は、「不謹慎」と同僚に怒られてしまう。
河野一郎記者が夜、バー・ローズに政治を呼び出す。
満州事変は日本の関東軍の仕業で中国人が犯人ではない、日本は世界で孤立すると推測している河野。
河野は「新聞はもうダメだ、俺は政治で日本を変える」と告白する。
政治は「記者を続ける」と答えたものの、今まで特ダネもない身だ。

直情的に、高橋是清を訪問する政治。
“オランダの木靴”をお土産に、特ダネをせびる。
「頭の中身は9割9分、水泳のことでいっぱい」と、正直に語る政治にほだされた高橋是清。
「記者に向いていないが、悪運は強いな」と、『若槻内閣は総辞職、犬養氏が総理に指名された』との最新情報を教えてくれる。
ちょうど、犬養毅が高橋家を訪問しに来ていたのだ!

『犬養内閣で高橋是清は大蔵大臣!』との、政治の初めてのスクープ!
社内は拍手、緒方部長は金一封を約束し「オリンピック応援歌も大いにやれ」と言ってくれる。
更に緒方は「ご祝儀」と見合い写真を差し出す。
『酒井菊枝嬢』…社長令嬢で、しかも実は、現在政治部付きの速記記者だった。
「強化合宿があるのでそれどころではない」との政治の発言を聞いてしまった菊枝だ。
政治は去っていく河野を追いかける。
「やったぞ、お前のおかげだ」とはしゃぐ政治に「たのんだぞ」という河野。
河野が託したのは、日本のスポーツの未来だった。

7年3月。
犬養毅首相率いる政府は軍に反対し、『満州国独立宣言』を認めようとはしなかった。
犬養は元記者、緒方部長とは旧知で政治のことも知っており、5月15日の「オリンピック応援歌発表式典」にも可能なら参加してくれるとのこと。
「アメリカは反日運動が盛んだから用心したまえ」とアドバイスをくれる。
しかし、東京へのオリンピック招致については「難しい」との意見だった。
「関東軍は愚かだ、人間同士向き合わなくては」という首相。
スポーツは勝っても負けてもすがすがしい、犬養氏はスポーツはできない…などという話題で笑い合う2人。
「応援歌、楽しみにしとるよ」との首相のお言葉だ。

帰社し、菊枝に速記してもらい、自分はソファに寝そべる政治。
「こんな暗いニュース、読みたくないじゃんね」といい、犬養総理の満州国への見解を記事にするのをやめてしまう。
特ダネを放りだしてしまったのだ。
「アレどこやった?」とウロウロする政治に、菊枝がそっと「応援歌最終選考」の箱を差し出す。
明らかに朗らかになる政治に、付き添う菊枝だった。

オリンピック選手選考合宿

神田YMCAのプールで男子水泳のオリンピック選手選考合宿が行われる。
衛生面に考慮してか、裸で泳ぐ男性選手たちだ。
しかし「カッちゃんは仕事がない日だけ、ツルちゃんは鉄道会社に就職し満州へ出発した」と松澤監督。
政治はシビアに選手の世代交代を考える。
ところが、若い小池選手が伸び悩んでいると聞くと、「鶴田を練習台に呼び戻せ!」などと無茶を言う。
おまけに練習不足の高石に「試合には出さない」と宣言して、恨まれてしまうのだった。

そして女子合宿、もちろんこちらは水着着用だ。
前畑秀子はスランプ中だった。
「そんなんじゃ、金メダルは取れないぞ」と暴れる政治。
秀子は去年病気で両親を亡くしていた。
豆腐屋を継がず、合宿でいい思いをしている自分を責めてクヨクヨしているのだ。
そこに鶴田選手が帰国。
秀子は、笑顔の鶴田にクギ付けになって…テンションが上がったらしい。
どうやら惚れている様子なのだった。
その後、前畑秀子は自己ベストを更新する。

五一五事件と田畑政治

東京の学生・斎藤龍の考えた応援歌『走れ大地を』を披露する祝典準備に邁進する田畑政治。

一方、犬養毅宅に、突然暴漢が侵入!
拳銃を持った若い軍人たちだ!
「話せばわかる」と犬養は話を聞く姿勢を示す。
しかし、複数の銃弾が!

式典予行にワクワクしている政治に、緒方部長が式典の中止と首相が撃たれたクーデターの件を告げる。
呆然の政治だ。

午後11時26分、犬養首相は死去。
ひとりプールで応援歌を歌いながら、失意の政治だった。
「いかなる場合も武力に訴えてはならん、人間同士向き合って話せば分かり合えるんだよ」との首相の言葉が政治にこだまする。

新聞社内では、「統制が厳しくなる」、「撃った将校は一部では英雄扱い」などと盛り上がっている。
「犬養さんは『平和的に解決したい』とおっしゃっていました」とつぶやく政治。
「残念だがこれ以上軍部ににらまれてはつぶされかねない」と、編集方針を改めざるを得ない緒方部長。
「こんな時だからこそオリンピックですよ!」と政治は粘る。

治五郎先生も「こんな時だからこそスポーツ大国となった日本を世界に見せる」と、結成したロス大会選手団を鼓舞する。
「国際社会で孤立しつつある日本を背負って頑張ってくれ!」
そう励まされる選手たちの先頭には、田畑政治もいるのだった。

夜半、汚い字でオリンピックの記事を書く練習中の政治を、菊枝が発見する。
メダルを想像して騒いでいるのを見て、コッソリ笑顔になるのだった。

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大河ドラマ「いだてん」28話の感想

全体的に田畑政治がやる気にあふれるほど、政情がそれを許さなくなってくる…という展開で、どこまで進めるのかとハラハラしてしまいました。
犬養毅に親身な描き方をすると、政治家たちも望んでいないうちに、戦争への道が決まってしまったような感じですね。
その中で治五郎先生が「スポーツ大国となった日本を世界に見せる」と話していた言葉が、心に痛みました。
一方、新聞社では犬養毅の平和論を田畑政治が記事にしないうちに、515事件が起きてしまいました。
もし記事にしていたら、政治も軍部に目をつけられて、ロス大会どころではなくなったのかな、と考えてしまいました。

成果主義で選手には辛口、しかし田畑政治は魅力満点?

メダルにシビアなため、高石選手には冷たい田畑政治ですが、全体的には松澤監督の言うとおり魅力にあふれていた、ということでしょうか。
阿部サダヲ演じる政治は、どこでもひと言多く、ラジオも乗っ取り仕事は放りだしている、トンデモナイ人間にも見えますが…。
高橋是清と犬養毅と親しく会話できたり助力を引き出せたりしているのだから、治五郎先生に匹敵するバイタリティと魅力、そして政治力があったのは事実なのでしょう。
今後の政治は新聞社で部長職にまで進み、1964年の東京オリンピック誘致までにこぎつけるんですよね。

そういえば、未来の妻・菊枝が速記者としてずっとそばにいるのに、政治は気付かなかったですね!
菊枝の方は好感を持っていなくもないようですが…今後どうなるか楽しみです。

ショーケンの遺作、高橋是清が木靴で叩くシーンはぐっとくる!

いだてんの28話の中で、ショーケンさん演じる高橋是清が木靴でポカンと頭を叩くシーンがありました。

このシーンは、実はショーケンのアドリブによるもの。リハーサルの時に、ショーケンさんが、アドリブで行ったことで、本番でも採用されてのオンエアでした。

いだてんの公式Twitterでも取り上げられていました。

萩原健一の遺作として注目のいだてん。
ショーケンさんが、お芝居を楽しんで居る様子で、素の笑顔が一瞬飛び出し、ぐっとくる名場面でした!

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