いだてん東京オリムピック噺

大河ドラマ「いだてん」の第19話「箱根駅伝」の、あらすじと感想をお届けします。

ついに「日本は走り切った」と語る金栗四三は、今回は運営側にまわって駅伝を盛り上げていきます。

箱根駅伝は、もともとオリンピックの予選的位置づけだったのですね。

熊本に迷惑をかけっぱなしの四三が、少しでも誠実にふるまおうとするシーンも興味深いです。

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大河ドラマ「いだてん」19話のネタバレ!

四三と駅伝とアメリカと…?

大正8年。
日光・東京間を完走してしまい「日本に走る道はなか」とつぶやく四三。
家に来た野口を相手に「次はアメリカ横断」と夢が膨らむ。
サンフランシスコからNYまで4000キロ走破は100日以上かかるし、駅伝形式で選手が必要になってくる。
「短絡的な」と慌てる野口、焚きつける居候の美川。
四三は実現可能と考え、予選はどこでやろうか悩む。
「あれだ、富士だ!」と考えたのは、山道の練習も必要と考えたからだ。
「違う、箱根!」と播磨屋の辛作が一刀両断。
“天下の嶮”こと箱根の山を走る計画の発動だ。

・ ・ ・

昭和の志ん生師匠宅。
ちいちゃんがお正月の挨拶で、お年玉をいただいていた。
五りんは落語の練習中。
先輩弟子の今松や美津子に強力指導されているのに、「富久」を覚えることができない。
ほろ酔い気分でおせちの黒豆がないことにこだわる志ん生師匠は「だったらネタを作ってみろ!」と冷やかす。
意外にも五りんがノートを差し出す!
「箱根駅伝」と題したノートに、しっかり自作のネタを考えている、五りんだった。

8年ぶりのオリンピック

大日本体育協会。
嘉納治五郎先生・可児先生は「興奮してくる」と、箱根駅伝に大賛成。
「金は?」と岸理事。
幸いにも報知新聞が出資してくれることに決まっていた。
「オリンピックの予選にもなる!」と、治五郎先生はクーベルタン男爵からの親書の話をする。
「8年ぶりのオリンピック」に盛り上がる一同。
ベルギーのアントワープで開催されることになったのだ。
「ストックホルムから8年、今度こそやります。やって見せます!」と意気盛んな四三。
「正月返上で頑張らんといかんな」と、治五郎先生。
冷やっとする四三。
冷水浴をしていても「お正月は必ず帰るって言いましたよね?」とのスヤ、義母・幾江、兄・実次たちの顔が井戸に浮かぶ。

・ ・ ・

その後。
「間違いじゃないのか」と治五郎先生。
アントワープオリンピックがマラソン競技を取り上げていないことだ!
「信じられない、日本がメダルを取れるチャンスが…」と治五郎先生。
「死者が出たからでは?」と永井先生。
その亡きラザロ選手のためにも、クーベルタン委員長が誓ったはずなのだ。
二階堂トクヨ先生が、ベルギーの戦後の惨状を写真で見せる。
「これを見て『マラソンを加えろ』とは言えません」とのことだ。
お屠蘇酔いの頭で、この話を受け止める、野口だった。

四三、帰省する

熊本。
正明をおんぶしているスヤに「心苦しいのですが、お正月も帰れそうにない」との手紙が届く。

ところが「ばば?!」と驚くスヤ!
背後に四三が立っていた。
スヤとの約束や、オリンピック渡航費の捻出などを秤にかけ、電撃帰省をした四三だった。
「旦那さん帰って来たばい!」と叫ぶ使用人。
「ご活躍で!」と威圧的な義母・幾江。

新年には正装した一同の前で「池部を代表して」長男の四三から挨拶が行われる。
旧年中はお世話になりました、長男も生まれ、オリンピックが8年ぶりに開催され…と話がズレていく四三。
「乾杯!」遮る幾江。
喜びに自転車節を踊るスヤ、四三“さん”とあいさつする実次。
しかし、ゆっくりはできない、9日には始業式、その前に試走会などと話していると、幾江の顔が曇る。
「玉名にはいつ戻られますか?」と、結婚して6年、スヤが可愛そうだと語る幾江。
「オリンピックを立派にやり遂げたら」と代弁する実次だった。

「キツか」と、幾江のことを寝室でグチる四三。
しかし、正明の夜泣きの苦労話などを聞き、「すまんかった」と布団に座りなおす四三だった。
「オリンピックに勝って引退し、指導者になったら家族で一つ屋根に暮らす」と約束する。
四三はスヤに近寄ろうとして…正明を起こしてしまうのだった。

箱根駅伝と駅伝落語

箱根駅伝の運営にまわる四三。
…について、新春高座でタスキリレー風に語る志ん生一門。
五りんのシナリオだ。
志ん生師匠、五りん、今松…とつなぐけれど、何だか話が息切れしているのだった。
そこに、志ん生の長男・金原亭馬生と次男・古今亭志ん朝が新年のあいさつに来る。
シナリオをさらっと一読し、見事中継ぎを引き受けてくれる、ベテランの2人だった。

・ ・ ・

体育協会では「今回は何人連れて行く?」と、アントワープ大会の予算が論じられていた。
「7人の選手に監督1名」が行けるのは、岸理事が義援金を募っているからだ。
喜び「金栗君に知らせないと」と治五郎先生。
「マラソンはありません!」とトクヨ先生。
治五郎先生が「クーベルタンに直談判する」と言い張り、みんなで止めにかかる。
そこに四三が「マラソン枠を6人に」と満面の笑みで増員を申請しに来る。
「全てのメダルを持ち帰ることも夢ではありません!」との自信に、何も話せない治五郎先生だった。

第1回箱根駅伝は2月14日の1時スタートに決まる。
「学生の本文は勉強」とトクヨや永井が言い張ったためだ。
報知新聞本社前のスタート地点で、四三が合図のピストルを鳴らす!
そのまま車で伴奏する四三だった。
「この道はオリンピックに通じているぞ!」と応援する四三。
明治、高等師範、早稲田、慶応の順位でレースが進み、第4走者目には日が傾いてくる。
イノシシ狩りの猟師が案内、たいまつに照らされ往路が走破される。
なんと慶応大は暗闇で道に迷ったとのことだった。

2日目朝。
一面銀世界、積雪6センチにマイナス4度の状況だ。
しかし、地元青年団や学生、湯治客までが雪かきをして応援してくれるので、走らないわけにはいかない。
四三の思い付きで、マラソン足袋のゴム底に溝を掘って滑りにくくし、予定通り7時に出発する!
しかし、車が凍って動かず、待ちきれず四三も走り出す!
報告を聞き「金栗らしい」と笑う治五郎先生だった。
「私も行くぞ!」との治五郎先生に、ゴール地点へ急ぐ体育協会の面々。
第7走者のころには天候は悪化、沿道の観客の傘のトンネルを進む選手たち。

明治・西岡選手がトップ、高師・茂木選手と、何故か四三が後ろに迫ったラストスパート。
新橋でついに2校が並ぶ!
「金栗さんにはなれません」と弱音の茂木。
ところが西岡がカーブで転倒するアクシデント!

15時間5分16秒で、東京高師が総合1位優勝となる!
マラソン初観戦だった岸理事は盛り上がり、最後まで明治の西岡を応援する。
治五郎先生に「マラソン、やるべきでしょう、こんなに感動できるなら」と男泣きに泣く岸だった。
治五郎はクーベルタンに手紙を書くことを決意する。
「日本では、いだてんを筆頭に、メダルを狙える選手が育っている!」

・ ・ ・

タスキをつなぐ五りん。
「ちょっとうまくなってる」とは、ちいちゃんの評価だ。
五りんの戦死した父は、箱根駅伝の経験があるらしい。

「マラソンのないオリンピックなんて!」と振りかぶったものの…“下げ”を考えつかない五りん。
志ん生師匠があとを引き取る。
「黒豆のないおせちみたいなもんです!」と締めくくるのだった。

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大河ドラマ「いだてん」19話の感想

責任感にあふれる四三は、運営側にまわっても見事駅伝を盛り上げていましたね。
裏で「アントワープ大会にマラソンなし」という話がささやかれているのに、全身全霊でマラソンンに取り組んでいる四三を見るのは、何だかつらい面もありました。

でも、何と箱根駅伝の復路を伴奏しきってしまうなど、いつもにもまして熱かった四三が、お堅い岸理事までもを動かしたのですね。

“予算にうるさい人”こと岸理事が大いに張り切って応援して、「初めての感動」と顔をくしゃくしゃにして、マラソン復活の「直訴」に前向きになってくれたのが、涙もののシーンでした!

志ん生師匠の高座もタスキで沸かす箱根駅伝!

さて昭和の「駅伝落語」の方は、五りんのアイディアを志ん生師匠が採用してしまったという、面白い設定でした。
でも、走者いえ噺の分担時間も決めず高座にかけてしまうあたり、いかにもだらしなさがフラになってしまう一門です。

出番が回らず、森山未來が演じ分ける孝蔵のそっくりさん登場には驚きました。

・志ん生の長男:清(10代目金原亭馬生)
・志ん生の次男:強次(3代目古今亭志ん朝)

2人はちゃんと実在した人物でした!

噺が上手く、でも性格は父に似ずに生真面目な設定の息子たちでしたね。
そして志ん生師匠の締めくくり「マラソンのないオリンピックは、黒豆のないおせち」が良かったです!

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