大河ドラマ「いだてん」の第44話「僕たちの失敗」の、あらすじと感想をお届けします。
苦渋の決断でジャカルタのアジア大会に出場を決めた田畑政治。
しかし日本に戻ってくると「戦犯探し」の槍玉にあがり苦境に立たされてしまいます。
困難な状況を迎えた政治と、復活を目指す志ん生師匠の姿が交錯する第44話です。
大河ドラマ「いだてん」44話のネタバレ!
ジャカルタでの決断
1962年、ジャカルタの第4回アジア競技大会。
日本の新聞記事では、『東京五輪にも影響か』、『冷たい国交』と、大会に非難が集中していた。
田畑政治は川島大臣に
・東京オリンピックを取り上げられる心配
・アジアの嫌われ者になる懸念
などを突き付けられたが、
「選手のため、心待ちにしているインドネシア人のために出る」と決心する。
「今日本が引き上げてアジア大会が中止になるのは、東京オリンピックを取り上げられるのと同じ」と、現地国民の気持ちを汲み取ったのだ。
うれしそうに開会式に走っていく選手たち。
午後3時、開会式の直前の出来事だった。
・ ・ ・
選手たちは好成績を連発したが、『JOCの優柔不断』、『田畑事務総長に非難の声』など日本の新聞は酷評ばかりだ。
川島大臣は「参加を決めたのは私ではない、都知事と津島さん、田畑くんだ」と記者の前で公言する。
事務所で頭を抱える留守番役の岩田と松澤。
新聞の一面トップは田畑バッシング一色なので、金メダルを取った選手もいるのに…とぼやく2人だ。
政治の妻・菊枝も心配して「田畑は大丈夫でしょうか」とやってくる。
「実はマーちゃんは意外と嫌われているんです」と、つい本音が出る松澤だ。
ジャカルタには、ローズのママから電話が入っていた。
「田畑政治がテレビで叩かれている」と言われ、不安になり「占ってくれ」と口走る政治。
電話を替わった河野一郎は、「日本人は美談より醜聞が好きだな」と言ってアドバイスをくれる。
・大会に1人でも台湾人かイスラエル人が出れば、正式な大会として認められる
・そうでない場合は、大会の趣旨を変えて、親善試合にすれば良い
とのこと。
その案はインドのソンディ代表と共にインドネシアの委員会に提案されるが、議場に暴徒がなだれ込み、インド大使館に放火される騒ぎとなり、成功しなかった。
東知事は一足先に帰り、委員会に参加に至った経緯を説明すると言い出す。
すまんと頭を下げるしかない政治。
「私は参加したことを後悔していないよ」と言ってくれる東だ。
戦犯探しの田畑バッシング
日本選手団は155個のメダル、総合1位の大活躍で帰国する。
しかし政治の戦いはここからだった。
「実情では取る道は参加しかなかった」と言うが、『田畑開き直り、態度が不遜』との新聞記事ばかりだ。
「親善試合」関係のいい加減な発言から、タバコを吸っていることまで非難の対象になる。
川島の策略で「この際ウミを全部出してしまおう」と、田畑・東・津島が衆議院に召喚されることになる。
川島自身は、戦後賠償問題でホテル道路等の視察に行ったこと、アジア大会の問題については一切発言していないと答弁し、支持を得る。
「茶番か」とつぶやく政治。
しかし「私の発言の仕方に問題があり、混乱を起こしたことは申し訳ないと思う」との政治の答弁には非難殺到で、「国際信用をなくした」、「オリンピックに対する国民の熱情が冷める一方」と責められてしまう。
「おかしいなと思う」政治。
これが俺のオリンピックか、どこで間違えたんだと、走馬灯のように今までを振り返る。
「今後はオリンピックを政府の国家事業と捉え、金は出す、その代わり口も出し管理する」と、川島大臣が発言する。
昔、高橋是清に「政府は金も出して口も出したらいかがですか」と勧めたのは田畑政治自身だった。
「あの時だ」と思い、拍手を浴びる川島を見ながら暗い気持ちになるのだった。
鬱々としている政治に朗報が届く。
岩田が国際陸上競技連盟からの『参加国に責任なし』との回答を持ってきたのだ。
「東京オリンピックも安泰だ」と、ほっとする政治。
次はテーマソング『東京五輪音頭』についてだと、歌詞をうれしそうに読み上げる。
『オリンピックの顔と顔』というフレーズが気に入っているのだ。
「いろんな顔が東京に押し寄せてくるんだよ」とはしゃいでいる政治と岩田だ。
2人は組織委員会の懇談会に出席することになっていた。
意気揚々の政治だったが、議場では東知事がうなだれており、川島大臣が胸を張っていた。
懇談会冒頭で「田畑さん・津島さん、お二人の責任問題を追求する」と、東知事自らが発表する。
退出するように言われ「ちょっと待ってくれ、何だ責任問題って」と混乱の政治は数人がかりで引きずり出される。
動揺し、抗議する岩田は「座ってくれ!」と東に一喝されてしまう。
うれしそうに川島大臣が仕切り、会議が始まるのだった
実は既に川島・東・津島で裏会合が持たれ「自分が辞任する時は田畑も一緒に」との津島からの申し入れがまとまっていたのだ。
昭和37年10月2日、田畑事務総長解任。
辞任会見はテレビで流される。
「私が微力であるため」と津島が頭を下げる横で、「辞めたくない、私の経験と情熱とをオリンピックに生かしたいんだ」と叫ぶ政治。
涙ぐみながらTVを見ている仲間たち、菊枝、河野一郎、ローズのマダム。
「俺はやりたいんだ、やっとレールを敷いたところなんだ。
…だがそのレールを走れない、最後まで走ることができないのは甚だ残念だ」
そう言って、泣いてしまう政治だった。
落語二人会
TVの会見を、漫才のようだと笑う今松。
心配そうに見る五りんの横で、知恵は五りんのTVの仕事を心配する。
オリンピック宣伝部長の話もすっかり来なくなった五りんは「二人会」に集中することになる。
志ん生師匠の娘・美津子に呼ばれ、師匠のお下がりの羽織をいただく五りん。
「例のアレですか、“まげろ”ってやつですか」と質屋話かと深読みして笑われる。
感謝していると美津子に言われ、恐縮してしまうのだった。
いつもの境内の、志ん生師匠と五りん。
「火事だ火事だ~」と練習していると、上手くなったと師匠が褒めてくれる。
「明日の成功を祝って一杯」と五りんが酒を勧めても、断る師匠。
「今度しくじったら二度と高座に戻れない」と自戒して、「明日うまくいかなかったら、それも潮時だ」とつぶやく。
驚く五りんだ。
「二人会」当日。
妻と娘に抱えられ今松に背負われて車に乗り込もうとしている頃。
何と、五りんは羽織持参で質屋に飛び込んでいた。
五りんが失踪した知らせが届いた志ん生宅。
知恵が持ってきたチラシの裏には『足袋に出ます』とメッセージがあった。
「独演会になっちゃう」と心配する美津子。
しかし志ん生師匠は「俺が2席やればいい」と強気だ。
妻おりんの火打石に送られて、出発だ。
今松に支えられ、高座に出る師匠。
満員のお客を前に、机を支えにしてかしこまる。
「地獄の閻魔様に呼び止められまして、お前はまだ娑婆で喋ってろって、三途の川から戻ってまいりました」との挨拶に拍手喝采だ。
「酒というものは、ちょっと飲むだけなら薬でございますが…」と危なげなく噺を始めるのだった。
俺のオリンピック
ローズでテレビを見ながら東京音頭を歌う田畑政治。
「“顔と顔”…2番の歌詞がいいんだよ」とわめき、「俺が呼んだのに」と、酔っ払って倒れてしまう。
毎晩飲んだくれているのを心配するママだ。
ぐでんぐでんに酔って帰宅する政治。
もう酒は出さないという菊枝に、おでんを買いに行かせる。
「いい女房だ、俺にはもったいない、本当すまないと思っている」などと独り言をつぶやき、アイロンの霧吹きの水を飲み始める政治。
「思いっきり女房孝行してやろう」などと言っていると、何故か菊枝が立っているので驚く。
なんと玄関に、政治の“俺のオリンピック”こと競技場の模型が届いていた。
「忘れ物ですよ」と、岩田・松澤・森西・大島が笑っている。
感動して泣き出す政治。
菊枝が見守る中「オリンピックの顔と顔」と玄関先で盛り上がる一同だった。
大河ドラマ「いだてん」44話の感想-五りんはどこに消えた?
「自分が敷いたレールを他人が走る」というのが、田畑政治の嘆きを示す、1番重い言葉だなぁと思いました。
ドラマとしては、同じ「動きが取れない」苦境でも、追い落とされる政治とじりじり復活する師匠の方向が逆で、印象的でした。
五りんは「二人会」を放り出してどこに消えたのでしょうね。
きっと志ん生師匠の引退なんて見たくないから、まだまだ自分が修行を続ける意志を見せたかったのだろうなぁと思いました。
田畑政治、絶体絶命で事務総長辞任!
ついに東知事にも田畑政治をかばうことができなくなってしまいました。
ドラマだけ見ていると川島大臣は本当にひどい人ですよね。
政治からオリンピックを取り上げるということに、政治家以外の仲間たちみんなが辛い表情をしているのが印象的でした。
国際陸連が「お咎めなし」を出した時点で、特に問責の必要はないように思ってしまいますが…。
ドラマ内では失言問題とされていたように、個人攻撃が集中してしまったのでしょうね。
いだてんの見逃し動画配信を見る方法は下記コンテンツに記載しています!
ドラマ「いだてん」が2019年6月2日より、総合テレビで毎週日曜20時から放送をしています! 「日本のマラソンの父」と呼ばれた日本人初のオリンピック選手の金栗四三と、東京オリンピック招致をした田畑政治の2人を主人公にした …
また1話から最終回のネタバレと感想もまとめていますのでよろしければあわせてご覧ください!