いだてん東京オリムピック噺

「いだてん~東京オリムピック噺~」第5話「雨ニモマケズ」の、あらすじ・ネタバレと感想をお届けします。

酔っぱらった昭和の噺家・志ん生師匠は、高座で「芝浜」らしき前振りをしながらも、浜辺つながりで羽田海水浴場のオリンピック予選大会の話へとスライドしていきます。

予選会のてんまつと、若き志ん生・孝蔵の思い出が語られる、第5話のネタバレをお届けします!

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大河ドラマ「いだてん」5話のネタバレ!

酔っぱらいの志ん生師匠、羽田の予選会を語る!

昭和35年の寄席。
高座にあがる日なのに、酒臭い師匠。
古典「芝浜」ではなく、オリンピックの予選大会の話を始める。
明治44年11月19日の出来事だ。

金栗四三は迷子になっていた。
審判席には三島弥彦もいるが、挑戦したくてうずうずしている。
我慢の限界がきて「ちょっと待った!」と服を脱ぎ始める弥彦。
女子学生のキャーキャーいう黄色い声援を浴びて、乱入する!
実はスパイクシューズも履いていて、短距離走で1位12秒をたたき出す!

後日ストックホルム大会・開会式で国旗を持っていたのは三島弥彦だった。

…寄席。
「…無事語り終わったの?」と、ツッコミを入れる志ん生師匠の娘・美津子。
高座で「寝かしといてやんな!」とお客に言われている、志ん生師匠だった…。

「羽田の悲劇」か?

56番のマラソンランナー・金栗四三。
19番、清さんは「早せ田」の偽印をつけて混じっており、四三とは足袋仲間だ。
「無理はするな、歩いてもいい、生きて帰ってくれたまえ」と、結構悲観的な永井教授。
スタート!

…寄席。
合図の銃声を思い浮かべ、高座で飛び起きて語り続ける、志ん生師匠。
「芝浜」じゃないねえ、と心配そうな美津子。

序盤、佐々木(小樽)、井出(慶応)、清さんが3位!
四三は最下位でスタートするが、「あせらず」と地道に取り組んでいる。
何しろ東神奈川までの道のりを往復するのだ。
清さんは早くも吐き気が。
六号橋付近、玉川土手で日差しが強くなり、落伍者も続出、地獄絵図の状態だ。
51番の四三は「お先に!」とペースを上げる。

沿道はマラソンなど見るのは初めてで、ビックリの大騒ぎ。
しかし、羽田のスタート会場は雨降りだ。
「待っているしかないのかねえ」と、焦れて暇そうな嘉納治五郎先生。
「じゃあ何かやりますか?」とキレかかる永井教授。

折り返し地点通過、佐々木(小樽)が先頭、井出(慶応)は2位だがフラフラ、四三は3位につけている!
向かい風に突っ込むように走る四三、あと4里だ!
「600m先、追い越せるぞ!」と声援が入る。
四三は再度六号橋を渡る。
「足袋が脱げそうだぞ!」と休んでいる清さんが声をかける。
足袋は使い物にならなくなり、帽子からは赤い染料が血のように垂れている四三。
挙句、何故か途中で止まり、佐々木と四三で10秒くらい、にらみ合いなどしている。

お天気雨の中、佐々木と四三の一騎打ちだ!
四三は険しい顔だが、息は整っている!
「これは羽田の悲劇ですよ!」と吠えている永井教授。
双眼鏡を構える、治五郎先生。

いだてんが見えてきた、「東京高師の四三だ!」と、どよめく会場。
足袋をかなぐり捨てて、四三はラストスパートを駆ける。
四三のタイムは2時間32分45秒!
世界記録に迫ると、沸く先生たち!
鬼の形相でゴールした四三を、治五郎先生が抱きとめる。
「君こそ世界に通用する“いだてん”だ!」
「まさか、こんな形で“抱っこ”の夢がかなうとは…」と少年時代を思う四三。
天狗党に胴上げされるのは、治五郎先生。
永井先生に「よくやった」と励まされ、水をいただくと、何故か「いや結構です」と四三。

…寄席。
「飲まないの、どうしてだい」、「世界記録が、また夢になるといけねぇ」
オチは「芝浜」で噺を締めた、志ん生師匠は拍手喝采。
「新作なの?」と美津子。
実は、かつて車屋の清公に教えてもらったネタだったのだった。

祝賀会を経て

実は、羽田予選の裏で、孝蔵は清さんの代理で人力車を引いていた。
「兄ちゃんいいかい」と来たお客は、なんと橘屋円喬師匠だ!
浅草の街を走り出したものの、途中で止まってしまう孝蔵。
何故かというと、師匠の練習に聞き入ってしまい、見事な語りに本当に雨が降ってきたかと思ったのだった。

マラソン顛末。
完走選手は6人のみ。
四三はロンドンオリンピックの記録より22分も早い?!と、もめる一同。
女性の本庄記者が「いかにもうたがわしい!」と道中を調べた結果を言う。
「いや間違いない!」との治五郎先生の断言により、新聞で四三は英雄扱いとなる!

寮の打ち上げ会。
「弱小徒歩部返上!」と酔って盛り上がる、顧問の可児助教授。
無礼講に、若干怒りをこらえる永井先生。
猫を抱えた美川は「臆してしまって」と、時の人である四三をコッソリほめる。
疲れとうれしさ、痛みなんかで幸せは半々…と検挙な四三だ。
「漱石ばかり読んでいたら胃の調子が」という美川は、“徒歩部の星・金栗君!”とたたえられているのを横目に、若干寂しそうだ。

その頃、嘉納治五郎は、浜辺で天狗党と大はしゃぎで楽しんでいるのだった。

夜、優勝カップを前に、疲れていても眠れない四三は、手紙を書こうとして…やめておく。
「かけっこにうつつを抜かして」との兄の言葉を、まだ根にもっている。
代わりに「勝つために」のノートに勝因を分析し、排便よし、食事は適量、厚着がよし、破れない足袋が必要…と、分析を朝まで続けるのだった。

四三、世界を意識する!

早速、足袋屋に松葉杖で出向く四三。
播磨屋には「当店の旅で十里!」と、足袋と四三をたたえる張り紙がある。
最初は笑顔で迎えてくれた播磨屋の店主、辛作だったが…。
「走り辛い、砂利道はダメ、雨道もいまいち、血豆ができた」などと、正直に最後まで足袋がもたなかったことを四三が話すと、怒り出す。
四三を張り飛ばし「足袋のせいでケガしただと」と怒り心頭の辛作に、逃げ出す四三だった。

三島家では、静かな朝。
女中のシマだけは「日本一なのに」と盛り上がっている。
「弥彦1位」の活躍はすぐさま新聞に写真入りで載ったのに、兄も母も触れもしないのだ。
「学生の道楽に変わりはない」と達観している弥彦。
シマに「西洋のように女子のスポーツがはやる日が来るかも」というのだった。

孝蔵は尊敬する円喬師匠に、「弟子にしてください、師匠の芸に惚れました!」と打ち明け、日々の送迎を承る。
博徒もやめ、軽快に車を走らせながら、嬉しそうな孝蔵だ。

熊本では「世界記録」の新聞記事を春野スヤが見つけていた。
嬉しそうに記事を切り抜こうとするが「もうすぐ嫁に行く身」と、父にたしなめられるのだった。

硬い表情の四三は、地球儀を見せられ「世界を意識して」と写真を撮られていた。
ストックホルム大会まであと半年。
世界を見据えようとしている、四三だった

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大河ドラマ「いだてん」5話の感想

「いだてん」第1話のエンディングと、ようやくつながってきた、第5話でした。

四三の赤く染まった顔はなかなか強烈で、歌舞伎の隈取りのようで「いかにも中村勘九郎らしい」という印象でした!
それにしても道中に雨、晴れ、雨と不運な気候に足袋の不具合もあったのに、よくぞ初めての10里を完走しましたよね。

完走した選手が6人というのも、すごかったです。
清さんなんか、序盤から大疾走で、お気の毒でした。
それにしても、打ち上げで大はしゃぎの治五郎先生に対し、寮でも謙虚で「喜び半分」と話す四三が好ましかったです。

また、猫を抱えてすみっこでしょんぼりしている美川も、また見せ場をあげたいな、と思ってしまうような雰囲気で、さすが(?)赤ゲットの2人組、という感じでした。

金栗四三は本当に世界記録保持者だったの?

羽田の予選大会で「2時間32分45秒」の記録をたたき出して、世界新記録だ!と褒め称えられた金栗四三です。

本当にこれは正しい記録だったのか?と少し気になったので、ネットで調べてみました。

上記のタイムは、嘉納治五郎先生によって1908年開催の第4回オリンピック・ロンドン大会の記録、アメリカのジョン・ヘイズ選手の2時間55分18秒と比較されたのですね。
それで「22分早い!」となったのですが…。

一般的には、羽田予選のマラソンコースの計測には不備があって、当時の公式の25マイルより短かったのではないか、とのことです。

確かに数字の上でも、10里は24.4マイル、39.27㎞というのが換算した時の値ですから、42.195㎞はないですね!

しかも正確に測量できていなかったとなると、ますます怪しくなってきます。

まぁ、そうはいっても、文字通りオリンピック先駆者となった金栗四三の偉業は、日本国内ではケチのつけようがありません。

「いだてん」の名にふさわしいわけです!

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