いだてん東京オリムピック噺

大河ドラマ「いだてん」の第10話「真夏の夜の夢」の、あらすじと感想をお届けします。

長旅の疲れをいやすどころか、白夜で睡眠不足になり、西洋人の体格の良さに衝撃を受け、なかなか難問ばかりの日本選手2人。

おまけに指導陣も不調としか言いようがなく、先行きが不安なストックホルム生活の始まりです!

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大河ドラマ「いだてん」10話のネタバレ!

白夜の世界・ストックホルム

6月2日、ストックホルムに到着した日本選手団。
「嘉納先生、どちらにおられますか?」と手紙を書く金栗四三。
「一日も早いご到着を!」との手紙が日本に届くには2週がかかる。
嘉納治五郎先生は、文部省での許可が取れ、やっと次の外務省に手続きを申請しているのだった。

ストックホルムは10時でもまだ明るい白夜の世界だ。
通訳ダニエルに自転車で並走してもらって、マラソンコースの下見、広々とした風景に感動する四三。
教会が折り返し地点だが、迷子になりそうな森のコースだ。

記者の取材も受ける四三と三島弥彦。
「日露戦争の勝利について」と“大和魂”などと聞かれてしまうのは、ご時世だ。
四三が出会ったポルトガル選手も初参加で「メダルを取ったら国から賞金が」などと語っていて、四三は驚く。
“カナクリは世界記録保持者だ”との話を聞きつけたラザロと、握手を交わす四三だった。

白夜で快眠できない四三に、「太陽が2つあるみたいだ」と弥彦もグチを言う。
「“小さな”日本人選手」と新聞に載っていることが気に障る四三。
「何も考えずに走るだけさ」と弥彦。

「孤独が何よりの敵なり」と日記に書く四三。
数名でチームを組んでいる西洋の国々の選手がうらやましいのだ。
体格の差も際立っている。
四三は大森監督に勧められ、1万メートル走にも登録。
弥彦は100、200、400メートルの短距離だ。
「下手な鉄砲数うちゃ当たる」の状況なのだった。
大森監督は6/5も咳で体調がよろしくない。
メモで弥彦には指示が出されるが、マラソンは専門じゃないと、四三にはメモなしだ。
日を追うごとに、悲壮感漂う妻の大森安仁子。
まさに孤軍奮闘の四三は「他人の力を借りずに勝つことを楽しみに」と日記に書くのだった。

ある日更衣室で、ポルトガル選手・ラザロが「Take it off」と足袋に興味をもってくる。
「ヒズメか?」と聞いているようだが「タビです」と説明しようにも、通訳ダニエルにも足袋はわからない。
仕方なく、身振り手振り、実演して見せる四三。

「Carpenter?」とラザロ。
実はラザロはカーペンター、つまり大工で、貧乏なので電車に乗らずに走っていたそうだ。
似ている立場に感動して、足袋を一足プレゼントする四三。
「カーペンターシューズ」と喜ばれる。
コミュニケーションが取れ、少しなごむ四三だった。

グレる弥彦

弥彦は眉間にシワを寄せ、スタートダッシュの練習に励む。
近くのレーンを走るアメリカ人選手たちとタイミングを合わせてみるが、全く勝てない状況だ。
通りすがりの記者に「足袋は捨てた?」と聞かれ、人気の四三と間違えられる弥彦。

四三の電報が播磨屋へ「大至急、足袋送れ」と届く。
夜なべ覚悟で縫う辛作のもとに、車屋清さんが「ダチの衣装を」と依頼しに来る。
孝蔵改め朝太へのお祝いだ。
橘家円喬師匠の見習いの朝太。

下手な噺家を、間の悪い笑い声で邪魔したり、同じ噺をもっと上手にかけたりする師匠。
半端な芸が気に入らないのだ。
朝太が小道具の湯飲みを気にしていると、肺を患っているからうつるぞ、などと脅されるのだった。

そんな思い出話を、志ん生師匠から銭湯で聞く、五りん。
五りんは熱湯に我慢できず、「親父の言いつけで」と冷水浴を始めるのだった。

一方、冷水浴のやりすぎで、水道を止められた四三。
何と滞在12日目にして、誰も部屋から出てこない状況だ。
弥彦はクローゼットに詰まって酒を飲み、ヤサぐれていた。

雲をつくような西洋人に囲まれ、10秒台11秒台は当たり前の世界、勝ち目はないと言う。
「我々は走ればよか、精一杯やればよか」と慰める四三。
今度は四三の人気にスネて、「走れば人が寄ってくる、カナクリワールドレコード」と冷やかす。
「ミスター12秒だよ!」と腐っている弥彦だった。

今度はトイレに座って泣いている。
便器の背が高くて、つま先立ちで用足しのたびに劣等感だ、と泣き出す。
四三は大森監督に直訴しようとするが、安仁子に遮られる。

重病にしか見えない大森兵蔵。
「明日は必ず行くから」とはいうものの、安仁子に「察してください」と言われ、打つ手なしだ。

「最初で最後のオリンピックになるでしょう。黎明の鐘は鳴りません」と、悲観的な四三だった。

弥彦は、ついに窓から飛び降りようとして、道路から街の人に見上げられている。
「落ちて足折ったら、走れんばい!」と止める四三。

「我らの1歩は日本人の1歩、意味がある!」と叫ぶ。
「すまん」と弥彦。

そんなこんなで、くんずほぐれつの弥彦と四三に、安仁子がメモを持ってくる。
ベッドの2人を誤解して、逃げ出す安仁子だった。

調子を取り戻してくる2人

弥彦と四三はダニエルのGO!で2人で短距離を走る!
外国勢からはモンキーボーイと言われているらしいが、痛快男子ぶりの復活だ。

安仁子がスタートダッシュの写真を撮る。
写真を見て大森監督が診断するはずが…
四三の笑顔や、花の写真も混ざっているのだった。

写りこんだアメリカ人のフォームも参考にする監督。
スタートダッシュの訓練に邁進する弥彦。

まだタイムは12秒2だが、良い走りができている。

四三は河で冷水浴することに決めた。
「水=Vatten」とダニエルがスウェーデンを教えてくれ、「ばってんだ!」と喜ぶ四三。

そこに水着の女性選手団が到着。
ダニエルの父に呼ばれ、まだ裸なので悲鳴をあげられる四三だった。

「何故走るのですか?」と質問するダニエル
「I don’t know」と、四三。

精一杯走った先は、例の教会が見える丘だ。
風やスウェーデンの花々を感じる四三は短歌を詠む。

奮闘の
声もとどろに吹きならす
すゑでんの野に
夏花ぞふく

またもや間違って右折、迷子になりかける四三だった。

夏至祭と嘉納先生

6/23、とうとう夜のない夏至祭の到来だ。
踊りあかす街の人々に、眠れない四三たち。
弥彦はノイズに耐えられない!と怒り出す。

あきらめて、とダニエル。
バカ騒ぎを止めに行った四三は、逆に「日本の歌を歌え」と舞台に押し上げあられる。
「ヤーパン!」コールされ、困る四三と弥彦。

思い切って「君が代」を歌う四三、仕方なく弥彦も付き合う。

歌い終わって、ポツポツから始まる拍手喝采。
そこに…!
笑顔の嘉納先生だ!

「すばらしい!」と、大歓迎かと興奮している。
たまたまです、と弥彦。
表彰台の予行演習です、と四三。

治五郎先生のお土産は足袋、そして「陸上運動競技法」、これは永井と可児がまとめたものだ。
「変わったことはあったかね、いだてん、痛快男子?!」と治五郎先生は陽気だ。

開会式では日本はイタリアの次、4人だけの行進だ
弥彦は旗、四三はプラカードを持つ。
「表記はJAPAN?」との問い合わせに、いいだろう、と治五郎先生。

しかし、四三は反対する。
「いや、表記は日本です!それでなくては、私は出ません!」
きっぱり言う四三だった。

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大河ドラマ「いだてん」10話の感想

大森監督の病状悪化で孤軍奮闘となった、金栗四三と三島弥彦が気の毒でした。
しかし、四三は普段から一人で走っていたので、外国的な風景の中、比較的練習を楽しんでいる感じが良かったです。
一方弥彦の方は、狭いトラックの中に大柄な選手がひしめいていますから、プレッシャーも多くかかりますよね。

隣のアメリカ人選手たちとコッソリ一緒にダッシュして、しかも大差がついているシーンは、切なかったです。

それにしても、夏至祭で四三が「君が代」を歌いだしたのは予想外でした。
「ここは自転車節では?」と思ってしまいました。
嘉納先生に四三が「表彰台の予行」と言ったのは、面白かったです。
生真面目だからこそ、笑える受け答えがあるというパターンが、四三にはピッタリですね!

三島弥彦を打ちのめしたのは、白夜よりも西洋人の体格よりも、日本人・金栗四三だった!

意外と言うべきか、まいってしまったのは三島弥彦の方が大変でした。
もともとお坊ちゃんで恵まれた環境、ファンの多い人生を送ってきたので、味方のいない、劣等感しか得られない状況には耐えられなかったのですね。

しかし、病気で監督が不在だったことよりも、金栗四三が意外にストックホルムで人気を得ていることが弥彦を自殺未遂(?)に走らせる追い打ちとなったのには、笑えました。
地味に便座の高さでダメージを受けているのも、共感する話でした。

四三は何となく庶民的なコミュニケーションを心掛け、選手に溶け込んでいましたね。
「世界記録所持」と「播磨屋の足袋」の効果もあったかと思いますが、及び腰にならずにゼスチャーでも会話を続けた姿勢には感動しました。

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