いだてん東京オリムピック噺

大河ドラマ「いだてん」の第14話「新世界」の、あらすじと感想をお届けします。
1週間お休みした「いだてん」の再開です。

ラザロの死や大森監督の気持ちを胸に帰国した金栗四三が、大正時代の日本でどういう再スタートを切るのか、ワクワクします。
孝蔵改め朝太の方は円喬師匠から新たな試練を与えられる様子です。

スポンサーリンク

大河ドラマ「いだてん」14話のネタバレ!

帰国した金栗四三

1912年9月。
金栗四三がひとり帰国したのは、白黒の無声映画でオリンピックのニュースに観客が興奮した後のこと。
明治天皇が崩御し、大喪の礼が済んだばかりの日本。
学生と可児先生が地味にお迎えするが、それが四三にはありがたかった。

寄宿舎で報告会が開かれ、正装して謝る四三。
「汚点を記したことは事実」と語るも、努力を知っている学生たちは冗談で紛らし、四三をねぎらう。
食堂車での大森監督の所業、「水はスウェーデン語で“バッテン”」などと盛り上がる中…。

「敗因は何?!」とズバッと切り込む女性がいた。
「だれ?」と目が点になる四三。
永井先生の弟子、東京女子高等師範学校の助教授・二階堂トクヨだ。
「つまみ出せ、女のくせに」と騒ぐ学生を、「大バカ者!」と一喝する迫力だ。
険悪な空気の中、四三は答える。
「敗因は1つではなか!」
数々の反省を胸にしまって黙々と…と語る四三に、永井教授が「それじゃだめだ、学ばなければ」と諭す。
50年後に欧米人と肩を並べるには、体格の改良などが必要だ、と持論を並べ、トクヨが大いにうなずく。
「でも」と、4年後にベルリンを目指すには、それでは遅いことを訴える、四三だった。

再始動する四三

ベルリンの旗竿に今度こそ日の丸を!
その志も新たに、四三は「今度こそ勝つために」ノートを作成し、トレーニングを開始する。
舗装道路対策で足踏みをしたり、西洋人並みのスタートダッシュの練習なども心掛ける。
電信柱の普及に目を付けた四三は、「電信柱練習法」と名付け、走行の緩急の指標にするのだった。
学友たちは陸上競技の道具に興味津々で、野口は砲丸投げや槍投げに能力を示す。

二階堂トクヨがイギリスに留学することになった。
そのため、永井の「学校体操教授要目」を普及するための全国巡業に、四三がいく話が出る。
「肋木で横隔膜を鍛える」という永井の決心は固く、可児助教授は「永井さんのやり方は暴挙」とため息をつく。
永井は体格改善に重点を置くあまり、可児が進める球技などは「球技は遊戯、鬼ごっこと一緒」という扱いだ。
可児先生は「円形デッドボール」を学生たちに流行らせ、体力と判断力を鍛えようとしていた。
英国で発祥したドッジボールの原型で、ルールはまだ発展途上なのだった。

兄・実次からは、四三にとってつらいハガキが届く。
『はなはだ残念なり、兄は失望、応援してくれた世間様に申し訳ない』とのこと。
悔しさを振り払うように走る四三だった。

孝蔵の旅立ち

相変わらず、弟子だか車屋だかわからない扱いの、朝太の美濃部孝蔵。
しかし、孝蔵の練習を眺める円喬師匠は、ある決断を下す!

「売れたいのかい?」と師匠。
「ペコペコしてまで売れたくないです」と孝蔵。
それなら、と「ドサまわり」を指示する師匠。
三遊亭小円朝が出る巡業に、孝蔵を貸し出すというのだ!
「破門っていうことですか?」と慌てる孝蔵。
師匠は「お前にはフラがある」と褒めるのだが、汽車の騒音でききそびれる孝蔵だった。

万朝と共に、汽車に乗りに出発する孝蔵。
円喬師匠は高座の合間に何とか見送りに行こうと、清さんの人力車に乗り込む。
ところが「朝太が旅に」と聞いた途端、師匠を落として走り出す清さん!
慌てて追いかける小梅と、「まだ乗ってないよ」と走る師匠!

(「弟子の見送りに師匠が走る“師走”か」との志ん生のツッコミ)

結局、清さんの車に乗って到着する小梅。
「水くさい」と清さん、「しくじるんじゃないよ」と小梅。
「美濃部くーん」と、フラフラで間に合う円喬師匠。
「師匠!」と、見送りに感激する孝蔵。
「これからは師匠じゃねえ」と、小円朝を指し、「大事な弟子を貸すんだから、倍にして返してくれ」と言う円喬だった。
「こいつは大物になるんだから」との言葉と共に、高級タバコの「敷島」を3箱、孝蔵に押し付ける。
泣き出す孝蔵。
「泣くヤツがあるか、ちゃんと勉強するんだよ」と円喬。

ちくしょう、と感激し「俺がフラならあんた(走って)フラフラじゃないか」と考える孝蔵だった。

将来を見つめる弥彦と四三

大正元年3月、二階堂が留学に旅立つ一方…。
大正2年1月には、三島弥彦が半年ぶりに帰国する。
「初めて負けた気分は?」との女記者・本庄の質問に「スッキリだよ」と爽やかに返す弥彦だった。

天狗党のみんなの前で「すっぱりあきらめて銀行員になる」と語り、いつものように上半身脱ぎ捨てる弥彦。
しかし「てんてんぐ!」のかけ声に、誰も唱和しない。
吉岡を始め、みんな「天狗から人間に戻る」と、解散を口にしてグチる。

もう30歳を越えた者ばかりということ。
大正に変わってスポーツは軽視され、むしろ「アメリカの野球は害悪、選手は不良」と言われていること。
「アメリカはスポーツ大国だよ?」と憤る弥彦。
それなら、銀行のサンフランコ支店へ行って、留学先で見極めてやる、と息巻く。
「それこそ三島天狗!」と盛り上がり、みんなで脱いでコールし「奮え!」と騒ぐ面々。
しかし、天狗党の幕引きは近づいていた。

大日本体育協会も変革の時代を迎えていた。
3月、嘉納治五郎が大森安仁子未亡人と帰国。
「大森君だ」と示すのは、安仁子が描いた肖像画だ。
「監督お疲れ様でした」と敬礼する一同。

大日本体育協会の部屋は閑散としていて、校長室は肋木で仕切られた狭い物置状態だった。
嘉納先生がいないうちに、借金取り立ての嵐で、可児は窓から飛び降りて足を折るほどだったのだ。
新しい理事には財政を立て直した岸清一弁護士。
新職の副会長には武田千代三郎が着任。
治五郎先生にとってやりにくい雰囲気だ。

弥彦と四三は浅草に集まっていた。
「ベストを尽くせば4年後必ず勝てる」と言う弥彦に、自信がない四三。
オリンピックの前後で「日本がまるっきり違ってしまった」というのだ。
「堂々と戦ってきたのはウソじゃなか、ですよね?」と四三。
「まぎれもない現実さ」と、弥彦はオリンピックの無声映画に連れ出す。
閑散としている映画館。
あまり自分たちは写っていない映像。
しかし、歓声や当時のことを思い浮かべているうちに、息遣いまで戻ってきた気がする2人。
肩を組んで、微笑み合うのだった。

『四三殿、とにかく一度熊本へ帰ってこい』との兄・実次からの呼び出しに、四三は帰省する。
叱られるかと思いきや、豪快に笑い“何も言うな・俺に任せろ・悪いようにはせん”を繰り返す実次に、嫌な予感しかしない四三。

「男なら堂々としておけ」と言われ、学校の先生になって熊本に帰ってこい、と言われる。
「今から見合いばしてもらう!」との話に仰天した時、ふすまが開く!

「春野スヤでございます」と、かしこまったスヤ。
「ばばばばーっ」と奇声を発し、四三が走り出すと、待ち構えているのは、池部の奥様だ!

「よく聞け四三、実は…」と実次。
遮る奥様が締める。
「説明しているヒマはなか!続きは来週!」

スポンサーリンク

大河ドラマ「いだてん」14話の感想

再起した金栗四三が、必死ながらも少しはコミカルに描かれているのに、なんだかホッとしました。
しかし、ストックホルム行きの前と後では「自分が変わった気がする」と四三が悩んでいましたが、むしろ明治から大正への日本の世相が大変化でしたね。

西洋文化の吸収についても、オールウェルカムだったのが、富国強兵重視で堅苦しい感じがします。
天狗党が委縮しているのも見ていて辛かったし、大日本体育大会の今後も心配です。

しかし、あっという間に四三がお見合いで、しかも春野スヤの再登場。
事情が呑み込めず、あたふたしている四三が、可愛かったです。

大竹しのぶ演じる池部の奥様の「説明しているヒマはなか!続きは来週!」という締めの言葉にもインパクトがあって、すごく受けてしまいました!

ホメられて送り出された美濃部孝蔵!「フラがある」というのはどういうこと?

孝蔵への円喬師匠の誉め言葉に「フラがある」というのがありましたね。
何のことか全然わからなかったので、ネットで調べてみました。

「フラがある」とは…


・ふっと笑いたくなるようなおかしみ
・勉強してできるではなく、天性にじみでるもの

ということのでした。

落語では当たり前の用語で「フラがあって、どこか面白い」というふうに使うんですね。
芸人独特の味わいのようなものでしょうか。

孝蔵は駆け出しのレベルとしては、最高の賛辞を師匠からもらったのですね。

スポンサーリンク