大河ドラマ「いだてん」の第22話「ヴィーナスの誕生」の、あらすじと感想をお届けします。
貞淑路線ながらもスポーツウーマンを育てている現場で“ヴィーナス”とは、大きく振りかぶった感じですね!
予告でも「女性たちに革命が起きる」と盛り上がっていましたが、金栗四三はどんな指導をしているのでしょう?
大河ドラマ「いだてん」22話のネタバレ!
オリンピック、ではなく『おりん噺』
昭和36年春、1961年。
知恵もやってきて、志ん生師匠の寄席をテレビで見守る師匠一家の女性たち。
借金取りから逃げるため、“朝太”から“馬きん”まで様々な名前に変わっていったと自嘲気味に話す師匠。
五りんが舞台でツッコミを入れるのも、定番になっているようだ。
大正10年9月。
ヤサグレている孝蔵。
鈴本亭の席亭から真打になる話が出て、群馬にいる元兄弟子・万朝から羽織の差し入れがあるが…。
質屋に衣装一式入れてしまい、結局寝間着のような着物でお披露目を迎え、“金原亭馬きん”となった孝蔵。
客席で、小梅と清さんがため息をつくのだった。
うだつの上がらない孝蔵は、ついに小梅たちから「おりん」という娘との縁談を進められる。
(オリンピックではなくておりんの話、と混ぜ返す師匠)
「芸が臭くなる」と結婚に抵抗する孝蔵だが、押し切られてしまう。
寄席で孝蔵を見たことがあるおりんの第一印象は「つまんなそうな顔」だった。
結婚祝いの席は、なんと鯛焼きが飾られる質素なものだ。
少しでも孝蔵をしゃんとさせようとする小梅、「お酒は今後嫁さんの酌だけで」と戒める清さん。
「ふつつかものですが」と頭を下げるおりんの両親。
うなずくしかない孝蔵だったが…。
お開きになると、早速お祝い金の封筒を奪って、遊びに行こうとする。
「今夜は帰らないよ」と、放っておかれる嫁・おりん。
無垢なおりんは、練習に行くのだろうと騙され続けるのだった。
(「東京おりん話、今日はここまで」と締めくくる志ん生師匠)
女子体育の興隆とシマの悩み
竹早の女学校。
金栗四三は、女子体育の普及に成功し、体操服で授業を受けるお嬢様方も増えていく。
村田富江たちは、播磨屋の辛作に作業場を借りてフランス風のユニホームを作成。
村田・梶原のペアは、テニス大会で各地を回り、アイドルのような扱いを受けるようになる。
シマの夫・増野の勤める百貨店に招かれる2人。
2人の作成したユニホームは、百貨店のショーウィンドウに並ぶ衣装に発展していくのだった。
女学生たちはスポーツを通じて、自分たちが美人・シャンに見えることを期待していた。
選手の足は引き締まっていると知り、四三まで参考にする女学生たち。
「パパ」と呼ばれるようになった四三先生の足に群がる女生徒に気おされ、スヤは「何かいやらしい」と怒りだすのだった。
足が細くなるということで、走り方を知りたがる生徒も増える。
早速播磨屋で走り足袋を作成してもらう富江たち。
シマ先生もマラソンに誘われるが、遠慮してしまう。
おめでたとのことに、お祝いをいうスヤだったが、シマは「間が悪い」と嘆く。
「結局私何も成し遂げていない」と暗い顔をするスヤ。
教員としてもランナーとしてもこれからだったのに、と悩んでいるシマ。
スヤは負い目なく丈夫な子を産むように励ます。
シマの妊娠を知った四三は「でかした!」と自分の子供のように喜ぶのだった。
シマは二階堂トクヨ先生にも報告する。
「ようございました」とお祝いを言ってくれるトクヨだったが、偶然にも雷を背負っている姿は怖いのだった。
「私は女子体育と心中する覚悟を決めた!」と語るトクヨ。
トクヨがカツラらしいことに気づいてしまうシマ。
妻子ある野口への恋情を断って、頭を剃って「二階堂体操塾」を代々木に設立する。
現在の日本女子体育大学だ。
野口を講師として迎え…まだ少し恋心が残っているトクヨだった。
女子体育の新星
岡山女子高等学院に遠征をする、村田・梶原テニスペア。
しかし、黒の袴姿の体格の良い女子選手に驚いてしまう。
剛力なスマッシュを放つライバル選手に、「とつけむにゃ」と呟く四三。
応援する四三とシマだったが、岡山のペアは無敵。
4対0の3試合で、完敗してしまう村田・梶原ペアだった。
「敗戦から学んだものが強くなれる」と2人を励ます四三。
シマは岡山の選手・人見絹枝に話しかける。
強さの秘訣は、練習時間は…と質問を重ねるシマから逃げるような姿勢の絹枝。
大きい・男みたい・化け物などと言われ続けて、自分を卑下しているのだった。
しかし、顔を輝かせるシマは、女子陸上選手として、東京に出るよう絹枝に勧める。
四三は陸上向きかどうか調べようと、袴の上から絹枝の足を確認し…見事蹴り飛ばされてしまう!
「文学部へ進むつもりです!」と逃げ出す絹枝。
これが、後に女子オリンピック選手となる人見絹枝だった。
大正11年春、熊本の池部家で長女マサコを出産したスヤ。
同じ頃、シマは長女リクを出産。
「子供同士が同級生」と喜び合い、スポーツをさせようと話すシマと四三だ。
女子陸上大会と女神率いる革命?!
大正11年秋。
四三は「夢のオリンピック出場への第一歩」として女子陸上の大会を企画する。
絹枝に期待するシマは手紙を書き送るが、絹枝は不参加なのだった。
女子陸上大会開催!
ハードル競技などを「清々しい」と眺める山本記者や元天狗倶楽部の吉岡たち。
いよいよ村田富江の番だが…新しい靴がキツかった富江は、なんと素足になる!
喜んで写真を撮りまくる記者。
素足に靴を履き、走り出す富江!
富江の靴下を振り回し応援する四三!
富栄は見事、全種目で優勝を果たす。
ミルクホールの嘉納治五郎先生。
素足の富江を褒めあげる写真入り記事を読み上げ、「時代は変わった」と喜ぶ。
しかし『文部省、女学生の運動競技に腿を出させぬ算段』との手厳しい記事には、悪態をつくのだった。
その頃浅草下町では、怪しげな美川がブロマイド写真を販売していた。
「スポーツ少女の素足の写真」と富江の写真も扱っている。
それに「全部売ってくれ」と、食いつく男がいた…。
学校で金栗四三にその写真を叩きつけたのは、浅草で開業医をしている富江の父親・村田大作だった。
大切な娘に何をさせるのだと憤っている。
「邪魔だったので脱ぎました」と、悪びれない富江。
竹早の名前に傷がつくと慌てる校長たち。
四三を解雇しろと、他の父親からも抗議が上がる。
「靴下を脱いだおかげで、富江さんは日本記録を出したんです!」と懸命に説明する四三。
しかし「嫁に行けん!」と話が通じない。
ついに四三も「おなごが足を出して何が悪かね!」と熊本弁で声を荒げる。
好奇の目の男の方が悪いと「女子が靴下を履くのではなく、男が目隠しをすればよい!」と叫ぶ四三だった。
だから女子体育が普及しない、ヨーロッパには勝てないと、無念を抱えているのだった。
しかし、四三の依願免職を求める父兄の署名が大作中心に集まり、四三は窮地に立つ。
女学生の間でも噂になり、自分のせいだと悩む富江は、なぜか机を動かし始める!
シマ先生が慌てて四三を呼びに来る。
なんと、生徒たちが教室に立てこもったとのこと!
机を積み上げ、張り紙をして教室を封鎖し、旗を振り張り切る女学生たち!
「不当解雇反対」と盛り上がる。
呆然とする四三、止めようと声をかけるシマ、頭を抱える先生たち。
「処分は受けます、退学でもなんでも!」と梶原。
「靴下を脱いだのは私です、どうして“パパ”が辞めなくてはいけませんの?」と富江。
「女らしさって何」と熱くなり、型にはめようとする男たちを「トンチキだ」と叫ぶ女生徒たち。
理路整然としたコールに、反論できない教師たち。
四三は決心して「村田!梶原!」と大声をかける…。
大河ドラマ「いだてん」22話の感想
女生徒たちがスポーツは「美しさを体現するもの」と考えているのが、興味深かったです。
まさに「健康美」の始まりですね。
ドラマなので、もっと苦労があったと思いますが、四三にせよシマにせよ、努力が報われる2人を見ると、自分もやる気が湧いてくるような気がしました。
しかし、若き志ん生師匠・孝蔵の方はどうしようもないですね。
ひどい遊び人が、この先どうやって「師匠」と呼ばれるまでになるのか、想像ができなくて苦笑いしてしまいます。
人見絹枝役の菅原小春に「綺麗!」「カッコイイ!」と絶賛の声!
人見絹枝さんと言えば、日本人女性初のオリンピックメダリストで100m、200m、走幅跳の元世界記録保持者というスター。
そのスターを演じるにあたって、菅原小春さんが、抜擢されました。
菅原小春さんは、ダンサーであり、いだてんは女優としての新境地となります。
ですが、初めてとは思えないほどの存在感を放ち、菅原小春さんがカッコイイ!綺麗!
この時代の170cmの身長だとかなり目立ったんだろうな!
というようなリアリティを見せる一面も。
実際に、人見絹枝さんと菅原小春さんは同じ身長の170cm。
役に対して、菅原小春さんは次のようにコメントをしています。
「私事ですが、日本では浮いてしまうような体型とか骨格とか、筋力を持っています。そして私事ですが(笑)、世界へ飛び出したときに『あ、なんだ私普通じゃないか』と思って。世界に行った途端、本当にちっぽけな存在だと感じて、『なんだ、普通じゃないか。だったら思いっきりやってしまおう!』って思った気持ちが、人見さんと通ずるような気がしています」
出典:https://thetv.jp/news/detail/192978/p2/
役に共感するところがあったように、思いっきりやった結果、リアリティがあり視聴者としても大変満足するところがありました。
今後の菅原小春さんの女優としての活躍も楽しみです!
女神とは人見絹枝?村田富江?四三のクビを守るために革命を率いる!
「ヴィーナスの誕生」という題名だったので、人見絹枝が女神に該当するのかな、とも思ったのですが…。
後半の盛り上がりを見ると、むしろ村田富江が革命を率いる自由の女神に近い感じでした!
女生徒たちが革命ばりに教室に立てこもるとは、愛されているな、金栗四三…と思うところですが、女生徒たちの間には日頃の抑圧を解消したい気持ちもあったのでしょうね。
自分たちの素足に好奇の目を向ける男の方が悪いという考え方は、痴漢などに悩む今の女性たちにも完全に共感を呼ぶものだと思います。
「男が目隠しをつければいい」と、富江を擁護した四三の言葉も、彼女たちの心に火をつけたのでしょう。
予告を見ると、この論争は父と娘の徒競走へともつれ込む様子です。
「スポーツの事はスポーツで決着をつける」となりそうな次回が楽しみです!