いだてん東京オリムピック噺

大河ドラマ「いだてん」の第29話「夢のカリフォルニア」の、あらすじと感想をお届けします。

いよいよ日本選手団がL.A.に乗り込みます。
基本的には水泳選手団を中心に描かれるようですが、アメリカで日本人が歓迎される面・嫌がられる側面が見えてくる回になっています。

田畑政治(阿部サダヲ)は初海外でどう振舞うのでしょうか、そしてベテラン選手・高石(斎藤工)の行方は…?

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大河ドラマ「いだてん」29話のネタバレ!

日本選手団L.A.へ!

志ん生師匠から二つ目昇進を打診された五りん。
お茶くみなどの雑用から脱出、その代わり独り立ちするということだ。
「あんまり落語って好きじゃない」などと悩むが…。
「オリンピック噺は続けたい」というところにだけこだわって、羽織を着て高座に上がる身分に。
五りんは、「まげちゃおうっかな(質屋に入れるの意)」と、お客の笑いを取るのだった。
「御贔屓にお長居いたします」との師匠の口上で、気持ちも新たに1932年のロス大会について語る。

満州事変に五・一五事件が起きた、昭和7年夏。
「こんな時だからこそ、スポーツ大国日本を世界に見せる!」
そう嘉納治五郎先生が演説、高石勝男が国旗を受け取り、選手団は6/23、龍田丸で出港する!
アメリカに次いで2番目に人数の多い選手団だ。
7/9、L.A.に到着。日系人から熱烈歓迎を受けて選手村に到着。
カリフォルニアの熱気に大喜びの田畑政治率いる水泳選手たち。
そろいのブレーザーで、ミュージカル的に踊り出してしまう。
「オリンピック最高!」と、走り出す政治だ。

練習とプレッシャー

7/10から練習開始。
上半身裸にサングラスで新聞を読む政治は、すっかりアメリカ風を気取っている。
政治の国旗掲揚に松澤の訓示、体操で始まる1日。
『1種目も失うな』との政治の言葉に、高石に緊張がはしる。
朝食後にプールで練習となるが、9時になるまで門を開けない守衛。
あと5分でも待たせるのは、日系人に仕事を奪われてイラついているためらしい。

日本人チーム練習開始!
すると「日本と同じ水に入りたくない」と切り上げるアメリカ選手たちが出てきて、雰囲気が悪くなる。
「いいじゃんね、貸し切りだ!」と前向きな政治。
選抜メンバーが決まるまで1週間、練習に熱が入るのだった。
リトル東京の歓迎会では「日系人はプールから締め出される」と差別を耳にし、アメリカ人水泳監督のキッパスには「メダルは一つも譲らない!」と圧を受ける。
しかし、めげない政治は「オールメダルフォージャパン!」とカタコト英語で米国の取材を受け、気負っている。

日本では『米国恐れるに足らず』との記事が掲載され、治五郎先生は体協の部屋で笑っている。
「日本泳法」が馬鹿にされていた12年前を懐かしむが、既に目はオリンピック東京大会への夢を見据えていた。
渡米した岸会長によると、アメリカ・フランス・ドイツは東京を支持してくれそうだ。
「来るぞ!」と、はしゃぐ治五郎先生だ。

その頃の若き志ん生師匠・孝蔵。
業平の長屋に移ったが、もと沼地だったので虫がひどく、蚊帳でもナメクジは避けられない。
「なめぐじ艦隊」の著書が生まれるような生活ぶりで、パンの耳がごちそうという生活なのだった。

高石選手の憂鬱

夜、外国人と交流して踊り出す政治をよそに、松澤監督・野口副監督・高石選手は練習の見直しをしていた。
長旅の疲れか、みんなタイムが伸び悩んでいるので、3週間でピークを調整していかなくてはならない。
社会人と中学生の差も悩みの1つだ。
タイムで自分の限界を悟り暗い高石に、松澤が気を遣う。
政治の『1種目も失うな』の貼り紙をにらみ、1人夜練習に励む高石だった。

7/18。
選手たちは、女子選手たちがL.A.入りするのに色めき立っている。
女子達はホテルに泊まるが、プール練習は一緒なのだ。
案の定、アピールで派手に泳ぎ込む男達が出てきて、「平常心で!」とくぎを刺す指導陣だ。

女子には「親善大使」としてパーティに花を添える責務もあり、政治は「芸者か」と怒ってしまう。
しかし、着物姿で習ったマナーを披露するのは、女子達にとっては楽しい時間だった。
河西アナウンサーが「ロビー活動ですか?」と政治に話しかける。
東京オリンピック開催のために治五郎先生もL.A.へ駆けつける予定とのこと。
取材依頼に、「ノンプレイングキャプテンだから高石を」と、許可を出す政治だった。

1人夜練習を続ける高石。
守衛だけが知っている秘密だったが…その夜は鶴田もやってくる。
2人して、若手のタイムについていけない、選考会は絶望的だと愚痴り合う。
「なにがノンプレイイングキャプテンや!」と、政治への愚痴で荒れる高石だ。
鶴田は「日米対抗戦の勝利で、劣等感がなくていい」と、政治の戦略をホメてとりなすのだった。

松澤には「有終の美を」と若手選手たちから高石の出場を懇願する声が集まる。
野口副監督はレストランで政治を説得しようとするが「タイムを出せ」との一点張りだ。
話をよそに、キューカンバ…きゅうりのテンプラにはしゃぐ政治。
実は政治は、影で女子選手に「河童」と笑われているのだ。
日系二世の女給・ナオミは、「日本人が勝ったら日系二世は今よりひどい目にあう」と言い、あまり「ビックトーク」はしない方がいいと言う。
「やってみなくちゃわからないだろ!」と怒る政治だった。

戻った政治に松澤が高石の件で食い下がる。
メダルの亡者扱いされて、ついに本音を吐く政治。
メダルにこだわるのは「ニッポンを明るくするためだ」というのだ。
最近の新聞紙面は暗澹たるものだから、水泳が全種目制覇したら明るいニュースになる、号外が出るかもしれない!
政治は原稿案と写真を、日本で「ある人」…酒井菊枝に託してきていた。
「スポーツが日本を数日間だけれど明るくする!」という話に心を打たれる松澤。
…実はその話を壁ごしに外で聞いていた高石も、表情が引き締まるのだった。

水泳選手選考会

『一種目も失うな!』を今日は高石も含めて全員で復唱し、運命の選考会を迎える!

河西たちが「同時アナウンス」の予行演習で参加、いつものようにストップウォッチを振り回し、女子に笑われる政治だ。
鶴田は善戦、そして100m自由形の高石選手は…
若手選手、政治や、何とアメリカ人の守衛さんも含めての大歓声に沸く中…。
やはり、若手の宮崎が1着、高石は敗れてしまい、政治に引き上げられ、肩を叩かれる。

結果、鶴田は選手に選抜、高石は選ばれなかったが、納得してみんなに拍手を送るのだった。
松澤が「今日の練習は休み」と発表。
政治がラジオ取材の話をすると、高石は「行きます、ノンプレイングキャプテンですから!」と胸を張って応じる。
インタビューでは「若手の伸びが素晴らしい」と答える高石だった。
「アメリカとて敵ではございません!」と政治がまとめる!

一方、治五郎先生もL.A.に到着。
IOC委員会で、正式にオリンピック招致に名乗りを上げる!
「聖火が東洋に導かれますように」との英語演説が拍手喝さいを受ける。

そして7/30、開会式だ!

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大河ドラマ「いだてん」29話の感想

前回から一変、満面の笑みで選手村を楽しむ田畑政治から話が始まり、少々面食らってしまいました。
水泳選手グループによるミュージカルナンバーも面白かったです!

このドラマの政治は、滑稽にふるまうことで苛立ちや非難の矛先を一手に引き受けている感じですね。
でも、なぜか心底は憎まれておらず、ある意味マスコット的立場にも収まっていて、いかにも治五郎先生の次世代型という感じの人物に描かれています。
こんな人物だからこそ、治五郎先生はブン投げたこともある政治を、オリンピック誘致の件に絡ませたのですね!

田畑政治(マーちゃん)×高石勝男(カッちゃん)の戦いはどうなった?

高石が、政治と松澤の会話を漏れ聞いていたシーンは、なんだか切なかったです。
高石には「メダルの亡者」としけ見えなかった政治には、実は記者として日本の現状を憂いている気持ちがあった…そう伝わった瞬間でした。
最終的には選考会で本気を出しきって、納得した上で「ノンプレイングキャプテン」となった高石。
吐き捨てるように話していた時とは一転、誇りをもって受け止めている演技が良かったです!

史実としても1964年の東京オリンピックで水泳の総監督を務めたそうなので、田畑政治の後を継いだことになるのですね。

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