いだてん東京オリムピック噺

大河ドラマ「いだてん」の第24話「種まく人」の、あらすじと感想をお届けします。
金栗四三の女子体育普及の相棒・増野シマが行方不明になってしまった関東大震災。

失意の四三は、熊本に帰省するのですが、何と義母・幾江に発奮させられて、東京復興に立ち向かいます。
感動の第1部エンディングです!

スポンサーリンク

大河ドラマ「いだてん」24話のネタバレ!

東京で失意の四三

関東大震災の翌々日、9月3日。
大日本体育協会も壊滅したが、文書や写真は残っていた。
しかし、金栗四三はシマ先生が見つからないままなので、意気消沈している。

11万人が行方不明、11万戸が焼失したという東京の街は、青空避難所状態で、バラックの仮設住宅が急務だった。
永田秀次郎東京市長に面会に行く、嘉納治五郎先生。
「神宮外苑を避難所として市民に提供しましょう」と提案し、“国民のための競技場”だからと強調する。
市長は喜び、“神宮バラック”には6400人が収容されることとなった。

シマ先生を探し続けるけれど、見つからずに嘆く、夫の増野と四三。
「かみさん陸上選手だろ、きっと逃げてるよ」と清さんが励ます。
“まるやけ屋”ですいとんを売っているたくましい小梅は、「里に帰ったんじゃない?」と指摘。
四三にも家族が心配していると帰省を勧めるのだった。

四三に喝を入れる幾江

4年ぶりに熊本に帰省した四三
「よくぞご無事で」と、ねぎらうスヤ。
息子と和やかに相撲し、兄・実次からも見舞いの訪問がある。
新聞記事には、自警団、武装軍隊、「戒厳令」と、実次が怖がるようなネタが書いてあり、四三は驚く。
流言飛語だと、兄やスヤに否定し「みんな助け合っている」と強調する。
「それなら、ナーシ帰ってきた?!」と、義母・幾江の一喝が入る。
四三の実家の母や甥たちが来ても、怒り続ける幾江。
東京を捨てて帰省した「意気地なし!」と責め、「踏ん張らんでどうする!?」と言うのだった。
とばっちりの実次は「逆らわずして勝つ」などと叫んでみる。
しかし、四三は2人の話から閃く。
大地震に立ち向わず、力を利用して人間が地震に勝てばいい、「柔よく剛を制す!」という四三。
しょげていたことを反省し「馬鹿になって走ろう!」と立ち上がる!

幾江は物資を用意して励まし、実母もおにぎりを持たせる。
「韋駄天は、人々のために走って食べ物を集めて運んだ神様たい!」とのことだ。
運びきれないものは送る、スヤも行かせると、太っ腹なのだった。

走り出す“いだてん”四三

四三とスヤが上京すると、播磨屋にも物資が届いていて、辛作に感謝される。
早速、物資をかついで走る四三。
スヤは『韋駄天尊神』のお札を眺めるのだった。

四三は弟子と共に大塚から日比谷・日本橋、神田・上野・浅草と、縦横無尽に物資をかついで被災地を走る。
避難所では女学生も大いに活躍していた。
「夏休みが終わったとたんの休校で」と、活力にあふれる村田富江から配達の着物を預かる四三だった。
そこにシマ先生の実家に行った増野が、がっかりしてやってくる。
富江が増野とリクにおにぎりを渡すのだった。

一方孝蔵は、寄席は戒厳令だし開くわけがないからと、金もないのに飲みに出ていた。
しかし、寄席ではバラックに舞台をこさえて営業していたのだ!
胸を打たれ、舞台にのぼる孝蔵だった。
震災後、草履をはいて寝ているおりんの話をし、「子供と亭主じゃ亭主の方が他人だよ」と言われたネタで、笑いを呼ぶ。
流行りの「復興節」でも、女性の強さが歌われている現状だ。
清さんと小梅、孝蔵のいるあたりにも威勢のいいいだてん・四三から物資が届く。

「あんなに嬉しがるとは」と言う孝蔵に「たまには笑いたいさ」と清さんは答える。
夜になると泣き声がする、静かなバラック避難所だった。
「“笑っても泣いてもいい”というような噺をしてほしい」と清さんに言われ、考え込む孝蔵。

今日の走りを終えて、祭壇のそばにしゃがみこんだ四三は、走っている女子をみてシマだと喜ぶ…夢を見てしまう。
朝、増野が似顔絵入りの尋ね人の紙を貼っているのを横目に、また走り出す四三だ。

大日本体育協会では、岸現会長、可児、永井、野口、二階堂らが無事に集まっていた。
「我々に一体何ができるのか」と治五郎先生が打ち上げる。
・オリンピックのパリ大会に選手を派遣!
・全国陸上競技大会を開催し、予選とする!
・今、外苑で運動会だ!

二階堂トクヨなどは、このご時世にと批判的だが、野口は自分たちにできることはスポーツだと賛成する。
そもそも、四三が「外苑で運動会をやろう」と言い出したのだった。
ふさぎこんでいる人、特に子供たちを励ますイベントだ。
「あの子たちにこそ、オリンピックを見せてやりたい」との四三の意を汲んで、治五郎先生が動き出す。

外苑バラックの自治会長は、なんと清さんだった。
しかし、清さんも小梅も、みんな暮らすだけで精一杯だと否定的だ。
「娯楽は間に合っている!」、「怪我人はどうする?」と非難が強い中、増野がやって来て開催を強く望む。
「シマの耳に届けば必ず駆けつける」との願いに、清さんも首を縦に振るのだった。

復興運動会!

…運動会について高座で語る、五りん。

「スポーツは娯楽の王様だ!」とやる気満々の復興運動会。
準備に邁進する四三に「Forty-three?!」の声がかかる。
大森安仁子が自身の児童福祉施設から、親を亡くした子供達を連れてきたのだ。
大歓迎する四三。

そんな子供たちのかけっこで開幕した運動会。
親子競争や球技など40種目で、バレーボールは女学生に大人気だ。
スヤやトクヨも綱引きで大いに活躍し、笑い合う。

四三をたよってやって来た人には、岡山の人見絹枝もいた。
シマの手紙が励みになり、岡山の競技会で走り幅跳びの日本新記録を出したとのこと。
シマ先生の手紙を受け取り、四三と増野は感動する。
…四三にあこがれて走ることに夢中になったこと、女子スポーツの普及が生きがいだったこと。
…体格に恵まれず、子供もできた、でも、走ることが好きだという気持ち。
…女子の陸上は世界でも認められてないけれど、応援していること。

四三に靴を用意してもらい、リレーに参加する絹枝。
富江と絹枝の一騎打ちを、みんなが応援する!
背中にリクを背負った増野は、拍手する観客の中に、シマを見つけたような気持になるのだった。

復興寄席も開かれ、孝蔵は「何が怖い?地震が怖い?かあちゃんが怖い!」などと笑いを取っている。

競技の締めはオリンピック選手による徒競走だ。
もちろん四三・野口、それに三島弥彦も現れ、真剣勝負だ。

“いだてんコール”の中、治五郎先生はストックホルム大会からの12年を思う。
「ずっと走り続けている四三、彼が走るとみんなが笑顔になる! 」
「まさにいだてんですね!」と可児が答える。
「“馬鹿が走りよる”みんなそう思っているだけです」と、スヤが口を挟む。

四三の様々な走り、オリンピック、浜辺の練習、駅伝、物資運びなどが思い浮かぶ。

競争する弥彦と四三、テープを切ったのは弥彦だ!
しかし、走り続ける四三!

「今度はいだてんが怖い?!」と孝蔵が話すのは、舞台のそばを四三が通り抜け、お客がついていってしまったからか。

こうして復興運動会は「みんなが腹の底から大笑いできる」大会となった。
その夜は外苑バラックからの泣き声はなかった……疲れて寝てしまったからかもしれないけれど。

…そう話を締める、志ん生師匠だった。

スポンサーリンク

大河ドラマ「いだてん」24話の感想

困難な中、仲間を亡くして一番辛くもあり、走りの能力を生かしたともいえる、“いだてん”面目躍如の回でしたね。
しかしスヤがなだめる中、実次のなんとなくのひと言「逆らわずして勝つ」と、幾江の「韋駄天論」が四三のやる気を起こすとは、面白かったです。
「復興運動会を四三が考えた」というのは、いかにもありそうなことでうなずけました。

バラック自治会長の清さんと、すっかり肝っ玉母さん風の小梅が、意外にも運動会に1度は反対したのは興味深かったです。
増野がシマのために運動会に賛成したのには、泣けてしまいました。
一方、おりんの方は苦労しっぱなしで、ちょっと可哀そうでしたね。

復興運動会で締めくくる第1部・感動のエンディングで泣ける!クドカンの脚本に絶賛の声!

徒競走で弥彦がテープを切って美味しいところをさらっていったのは、長短の得意はあったとしても、ありゃりゃ…という感じでした!
でも、その後四三が走り続けて、観客のみんなを笑いに巻き込んだのは、面白く、感動的なエンディングでした。

復興運動会の中で、走り続ける四三と復興寄席の孝蔵が、わずかながら会話を交わしたシーンは、気分が盛り上がりました!
今まではニアミスばかりで、言葉を交わしたのは高台の神社で、互いの練習が重なった時だけだったんですよね。
最後にちょこんと競技場にビートたけし演じる志ん生師匠が現れ、「泣き声がないのは疲れちゃったから」と締めたのも、いかにも高座のキメのようで良かったです!

また、クドカンこと宮藤 官九郎さんの脚本が素晴らしいと絶賛の声が上がっています。
もはや「大河ドラマを越えた感動がある!」という声も。
被災者の心を丁寧に描いた脚本が素晴らしく涙の途切れない1部の完結編でした。

いよいよ次回からは第2部。
阿部サダヲ田畑政演じる治が主役へと躍り出るのですが、オリンピック・パリ大会へ四三が出場する話から、上手くつながっていくようですね。
史実的に世相は暗い方へと向かいますが、「スポーツで国を変えることができる」との予告の田畑政治の言葉を頼みに、ドラマの再スタートに期待したいです!

スポンサーリンク