大河ドラマ「いだてん」の第35話「民族の祭典」の、あらすじと感想をお届けします。
ヒトラー政権下のオリンピックベルリン大会が開催されるわけですが、「オリンピックはただのスポーツのお祭り」と考える田畑政治を当惑させる状況が待ち受けている様子です。
ロサンゼルス大会のように自由ではない現地で、日本人選手団と政治たちは本領発揮できるのでしょうか。
大河ドラマ「いだてん」35話のネタバレ!
五りんと播磨屋と、金栗四三
昭和36年秋、五りんは彼女の知恵を連れて、自分のルーツを探しに播磨屋を訪ね、前店主の辛作とニアミスしていたが…。
昭和11年の春、赤ケット姿で上京した金栗四三と弟子・小松勝の2人は、シマ先生そっくりの人物と出会っていた。
シマが生きていたと思い興奮する四三に、女性は「増野リク」、シマの娘だと名乗る。
父と共に近くに住んでいるリクは、播磨屋の店番やお針子を担当していた。
一方、四三の方は、嘉納治五郎先生の招待を受けて、自分は東京オリンピックの聖火リレーに、そして小松を東京大会のマラソン金メダル選手に育てようと、意気込んでいた。
辛作は、現在のマラソン界では朝鮮出身の孫基禎と南昇竜がピカイチであると説明、2人とも辛作謹製の“四三足袋”を着用していた。
小松も、足袋を作ってもらうことになる。
集まったみんなで記念撮影をするが、カメラマンはリクだった。
後に、五りんはその写真を見せてもらうが、母親は写っていないし、父親の顔は…覚えていないのだった。
1940年の東京五輪決定!
昭和11年(1936年)7月31日。
ベルリン大会開幕の前日、1940年の大会開催都市が決定する。
ヘルシンキvs東京との流れに、気負う嘉納治五郎先生と副島道正委員。
シベリア鉄道の長旅の大変さを喧伝している田畑政治は、追い払われてしまう。
アメリカは日本に賛同している、中国は満州事変で無理だろう…と票読みするが、過半数の24票を獲得できるかは微妙だ。
日本が選ばれない場合、治五郎先生はIOCを脱退する覚悟だった。
「ラトゥール、我が愛しき友」と、会長への挨拶も忘れない。
開会後、治五郎先生が演題に立ち、1番目の演説を行う。
…日本はもはや極東ではない、陸路2週間で行くことができる。
…選手一人当たり150ドルの補助金も用意する。
…聖火の炎はヨーロッパを飛び出し、オリンピックはすべての国・民族に開かれるべき。
そう演説する治五郎先生は、あえて「極東は今、戦争と平和の間にある」と続ける。
「だからこそ平和の祭典を、日本の東京で開催したい!」との話は、委員の拍手喝さいを受けるのだった。
投票開始!
会場の治五郎先生は、投票した委員たちと握手する。
中国の委員は打ち解けない態度だが…。
いらつき、タバコが進んでしまう政治。
3時間後、議場のドアが開く。
発表は「TOKYO」だ!
治五郎先生と副島委員、政治は手を取り合って大喜びだ!
治五郎先生は、東京に投票してくれた中国の王委員にも手を差し出し「謝々」とあいさつする。
政治は、知った仲の特権で、ラトゥール会長に駆け寄る。
なんとラトゥールは政治に「日本を代表してヒトラーにお礼をいうように」と耳打ちしていく。
取材仲間に翻訳を確認し、焦る政治だ。
「オリンピックを東京に持って帰るぞ」と嬉しそうな治五郎先生の横で、笑顔がこわばる。
東京では招致決定のニュースで大喜び、街には横断幕がはためき、播磨屋では金栗四三たちが手を取り合っていた。
早速、「東京まであと4年!」と、走り出す小松と伴走者の四三。
三日間、戒厳令も忘れて、花火が上がり、お祭り騒ぎの東京の街だった。
ベルリン大会開幕!
8月1日、ブランデンブルグ門に聖火が到着して、ベルリン大会が開幕する。
しかし、軍隊が整然と更新する、ナチスのシンボルがはためく大会だ。
田畑政治は、ラトゥール会長の「日本はヒトラーに感謝したまえ」の言葉を思い出してしまう。
オリンピックを“ユダヤの汚れた芝居”と揶揄したヒトラーも、ゲッペルスの助言に応じて、立派な競技場・華々しい聖火リレー・女性監督レニ・リーフェンシュタールによる映画など、アピール活動には予算を惜しまなかった。
日本選手団は、開会式に軍隊の制帽で臨もうとしていた。
政治は1人、ロサンゼルス大会のカンカン帽をかぶり、みんなにたしなめられる。
軍事色に「オリンピック精神に反する」と、気が滅入る政治だ。
絢爛豪華な開会式に日本人選手団は圧倒されてしまう。
語り合う、ラトゥール会長と治五郎先生・副島委員。
「東京は東京のやり方で良い、期待している」と励ましてくれる会長。
治五郎先生は、日中関係の悪化にかかわらず、スポーツに政治を介入させたくないと考えていた。
軍隊が“警備”していて、西欧人と隔離されているような日本選手団宿舎に、落ち着かない政治。
若い男性選手たちは「ハイル・ヒトラー」を真似したり冗談にしたりなどしていた。
「良い加減にしたまえ」と怒ってしまう政治。
ヤーコプという通訳に、食事の味や郵便物を開封されていることにも文句を言うが、ヤーコプはナチス将校を気にして上の空だ。
懇意にしている河西アナウンサーが、ヤーコプはユダヤ人で「期限付きの平等」の最中であると説明する。
五輪のマークを見つめ「なんだかなぁ」と顔をしかめる政治だ。
金メダルと国旗と、田畑政治
ベルリン大会で、日本最初の金メダルを獲得したのは、三段跳びの田島選手だった。
いよいよ、注目のマラソンだ。
9日午後3時、時差で日本の夜半に、マラソンスタート!
孫・南選手が走り出す!
孫選手は、折り返し地点で3位につける。
ベルリンには珍しい猛暑に、途中棄権する選手が続出、優勝最有力のアルゼンチンのザバラ選手も棄権となっていた。
東京・播磨屋でも、バー・ローズでも、みんながラジオに集合していた。
しかし、非常にも「午前0時、放送を終了いたします」とアナウンスされ、ラジオ前の観衆はブーイング。
四三は「ベルリンにエールを送るために走る!」と言い出す。
リクが初めて全部作成した足袋を、小松にプレゼント。
大はしゃぎの小松と、ストックホルム大会のことを思い出す四三は、松明を持って夜の東京を走る。
翌6時30分、再開したラジオからは、スタジアムに選手たちが戻ってきた様子が語られる。
孫選手が1位でスタジアムに到着、ついにテープを切った!
競技場の治五郎先生たちも、播磨屋の四三たちも大喜びだ。
治五郎先生は「ついにやったぞ、金栗君!」と叫んでいるのだった。
同じ頃、涙を流してラジオに手を合わせてしまう四三だ。
播磨屋の表には『祝・孫選手世界一』と張り出される。
2着はイギリスのハーパー選手、3着は南だった。
表彰式では『君が代』が流され、日本国旗が2枚、イギリス国旗とともに掲揚される。
しかし、2人とも朝鮮出身の選手なので、播磨屋の一同は、孫・南の気持ちをおもんばかる。
辛作は「俺の足袋を履いてくれた選手はちゃんと応援するし、勝ったら嬉しい」とまとめる。
四三たちは大いに賛同し、「播磨屋の金メダルだ!」と辛作を胴上げするのだった。
当然、陸上に続き、水泳も好成績を期待されている。
しかし、田畑政治は調子が出ない。
1人プールサイドで愚痴をつぶやいていると、前畑秀子が「眠れないから」と、夜練習をしていた。
「金メダルをとれたら、このオリンピックのことを好きになれると思う」との秀子の話に、元気をもらう政治だ。
「前畑頑張れ!」と、何度も繰り返すのだった。
大河ドラマ「いだてん」35話の感想
軍事色が強くなっていくオリンピックに徐々に不安な気持ちになっている田畑政治と、ナチスといる状況を楽しんでいる若い選手たちの雰囲気が対照的で、切なかったです。
無事東京大会が1940年に決まった中、中国人IOC委員とのシーンや、朝鮮出身選手の金・銅メダル獲得について微妙な空気が流れるなど、戦争へ向かっていく日本の雰囲気がわかりやすく伝わってきました。
次回は、いよいよ前畑秀子の雪辱戦です。
ドラマの上白石萌歌演じる秀子は、周囲からの嘆きの声を受けて再出場のために頑張ってきたわけですが、結果を出すことができるのでしょうか。
歴史的なことは…秘密にしておいて、来週を楽しみましょう!
東京五輪決定のさなか、シマ先生復活か…と思いきや、実は“増野リク”!
やっと、昭和11年と昭和36年がつながり、五りんのお母さんがシマ先生の娘・増野リクだということが確定したようですが、父親については不明なままでした。
今回登場した集合写真ですが、リクがカメラを操作するという仕掛けでうまく(?)写らず、父親は五りんが顔を覚えていないため、不明でした。
そもそも五りんの本名って、明されたことがあったでしょうか…。
想像としては、リクが初めて足袋を作ってあげた、小松勝選手が五りんの父親ではないかと思うのですが…。
なんだか、ミステリーみたいで面白いですね!
いだてんの見逃し動画配信を見る方法は下記コンテンツに記載しています!
ドラマ「いだてん」が2019年6月2日より、総合テレビで毎週日曜20時から放送をしています! 「日本のマラソンの父」と呼ばれた日本人初のオリンピック選手の金栗四三と、東京オリンピック招致をした田畑政治の2人を主人公にした …
また1話から最終回のネタバレと感想もまとめていますのでよろしければあわせてご覧ください!