大河ドラマ「いだてん」の第36話「前畑がんばれ」の、あらすじと感想をお届けします。
今回の主役はなんといっても前畑秀子(上白石萌歌)です。
周囲の圧力からと言っても良い状況で、4年間泳ぎ続けた秀子。
「がんばる」という言葉をこれ以上かけられなくなってしまう田畑政治(阿部サダヲ)は、そのプレッシャーを理解して困ってしまう様子です。
政治が直接ヒトラーと会話するシーンも見どころです!
大河ドラマ「いだてん」36話のネタバレ!
政治、秀子のプレッシャーを理解する
「頑張れ」と夜のプールで前畑秀子に声をかける田畑政治。
しかし「がんばって金メダルが取れるならロサンゼルスでとっている!」とキレられた秀子に、プールにつき落とされてしまう。
秀子は10分の1秒を縮めるために4年間励み、世界新記録を何度も更新してきたが、「ここまで持ち上げられたからには金メダルを取るまでは帰れない」と、かなり精神的に追い詰められていた。
(そんな秀子について、高座で五りんが語る)
ドイツ代表のマルタ・ゲネンゲル選手が、秀子の1番のライバルだった。
予選からのタイムに一喜一憂してしまう秀子、励まし方を悩んで、変な態度になってしまう政治だ。
秀子のもとには、日本から励ましの電報が山のようにたまっていた。
『メインポールに日の丸を』、『死んでも勝て』などのメッセージ自体が秀子の重圧となるのだが…。
そんな中『辛か時は押し花がよか』とのメッセージも友人に読み上げられる。
金栗四三からだったが、秀子や友人には「誰やそれ」と言われてしまうのだった。
今晩も寝付けず、枕元に立つ亡き両親と会話をしてしまう秀子。
4年間結局周りの言いなりだと思い、自分を責めていた。
亡き母が「秀子が生まれてくれてよかった」と言い、亡き父は、懐からがんもどきを取り出して笑いをとってくれる。
やっと笑顔で、亡き両親にお礼をいう秀子だ。
「明日は勝たせてください」と祈る秀子に、「明日はみんなで泳ぐんや」と励ましてくれる2人の幻だ。
秀子とゲネンゲル、政治とヒトラー
河西アナウンサーは風邪で放送を降板しようとしていたが、田畑政治は「前畑が大事な時に風邪なんて」と文句を言いに行く。
ただし「前畑にガンバレは禁止」と言うなど、悩める政治だ。
競技直前。
思い詰めて、励ましの電報を口に詰め込んで食べようとする秀子。
田畑が羽交い締めにして止めるのも聞かず、飲み込んでしまう。
「これで私は1人じゃない、日本人みんなで泳ぐんだ!」と、気持ちは高まった様子だ。
一方、隣室のマルタ・ゲネンゲル選手は、ヒトラー総督の激励訪問を受け、敬礼していた。
「総統の言葉で私は頑張れます」とマルタ。
脇でみていた政治は、ついヒトラーに話しかけようとする。
将校に捕まりながらも、なんとか前に出られた政治。
「ヒトラーさん、オリンピックを東京にナニしてもらってダンケシェーン!」と、お礼をいう。
階段上から握手の手を差し出すヒトラー。
笑わないまま一同が去っていくのを、無言で見送る政治だった。
前畑がんばれ!
ついに、秀子の出番、女子200メートル平泳ぎ決勝戦。
競技場はマルタ・コールでいっぱいだ。
政治は「ガンバレ」との言葉を使わないように自制しながら前畑・コールをする。
時差8時間の東京。
朝日新聞社では元水泳チームの鶴田と高石・野田たちが、播磨屋では四三たちに清さん・小梅も加わって、ラジオ放送を待ち構えていた。
今日に限っては、12時を過ぎても「スイッチを切らないでください」と河西アナウンサーが実況放送を続ける。
スタート!
ターンの段階で、秀子は2位、マルタは3位につけていた。
秀子がわずかにリードするが、マルタに迫られている!
競技場でも東京でも、みんなが「ガンバレ」コールを繰り広げる。
しかし、ヒトラーを始めとするドイツの応援の方が、現場では大きい。
「がんばれって言っちゃだめ!」と、河西に向かって焦る政治。
タッチ!
秀子は1着だった!
今度は「勝った、勝ちました!」としか言えない河西だ。
みんな、秀子に各地から「おめでとう」「ありがとう」と叫んでいる。
満面の笑みのマルタと「また一緒に泳ぎましょうね」、「ぜひ」との挨拶を、水中でかわす秀子。
盛大な拍手の競技場を、ヒトラーは相変わらず笑わず、無言で拍手しながら退出する。
政治は「よくやった」と秀子を持ち上げようと手を差し出したが、支えきれずプールに落ちてしまい、2人は水中で笑い合うのだった。
日の丸が上がり君が代が流れる中、記録3分3秒6で金メダルを獲得した秀子は、泣きながら表彰台に立っていた。
ロサンゼルス大会の自己記録を3秒も縮めての勝利だった。
ベルリンオリンピックは熱狂のうちに閉会し、『1940 SEE YOU TOKIO』の文字が掲げられる。
通訳のヤコープが、最後に秀子に会いたかったと、写真を届けてくれる。
「前畑よくがんばった、偉かったと伝えてください」というヤーコプを、4年後の東京に誘う政治。
しかしヤーコプは「それは難しいかもしれない、ありがとう」と去っていく。
釈然としない政治に、副島委員は治五郎先生の不調が心配だと言い出す。
「重責を思えば無理からぬこと」との話に、呆然とする政治だ。
東京五輪、大丈夫か?
日本。
4年後の東京五輪決定への盛り上がりを見て、少々疲労している治五郎先生。
金栗四三と弟子の小松が訪ねてきたのだが、「いだてん」と呼びかけるのがやっとの様子。
「聖火ランナー頼むぞ」との言葉だけで、小松と顔も合わせず去っていく。
四三は治五郎先生がプレッシャーと戦っているのだと理解する。
東京オリンピック組織委員会の結成は、気苦労の多い作業だった。
10万人が収容されたベルリンの競技場の写真を見て、驚く牛松東京市長。
神宮競技場の収容規模にも物言いがつく。
陸軍次官の梅津美治郎は「質実剛健に日本流で」とお祭騒ぎをけなす。
何とか演説する治五郎先生。
「オリンピックは国家的大事業です…日本の文化や精神を世界中の人たちに見て貰います」
治五郎先生の覇気を信じる政治だが、副島委員は懸念を見せる。
スポーツマンシップよりも、ベルリン流の「挙国一致路線」が勝っていると心配しているのだ。
言い返せない政治に、さらに辛い話があった。
ベルリン大会の通訳・ヤーコプが、自殺したというのだ。
ユダヤ人だったヤーコプは、オリンピック後は利用価値ナシとナチスにみなされることを知っていて、閉会式の翌日に亡くなったとのこと。
政治は、五輪の旗を見つめ、ヤーコプを思い出すのだった。
ヤーコプから現地でもらった写真には秀子や政治の笑顔が映っていた…。
東京五輪の最先は暗い。
朝日新聞社にやって来た元記者の政治家・河野太郎は、軍の言いなりになっている組織委員会をけなす。
「次の国会で、俺はオリンピック反対論を打ち上げる」と言う太郎を、止められない政治だ。
さらに、昭和12年7月、盧溝橋事件が勃発し、日中の全面戦争がはじまる。
号外作成に騒然とする新聞社で、立ちすくむ政治だった。
大河ドラマ「いだてん」36話の感想
感動と重圧の2方向からベルリン大会が語られていて、改めて、オリンピックにはいろんな立場の人が関わっているんだなぁということが身に染みました。
前畑秀子選手がプレッシャーと戦っている一方で、ヤーコプは命の危機にあり、嘉納治五郎先生は次期オリンピックの責任感で苦しんでいたのですね。
オリンピック開催時、大多数は自分も含めてただの「観戦者」となるわけですが…。
“2020”についても、現場では様々な気持ちが入り乱れていることを理解した上で、応援していきたいなと感じました。
プレッシャー!
プレッシャーの扱いについて、とても繊細に描かれている第36回でした。
まずは前畑秀子の「後10分の1秒」とのプレッシャー、
そして河西アナウンサーの病気をおしての実況放送、
さらには嘉納治五郎先生の東京オリンピックへの思いです。
その中で、政治がだんだん何もしゃべれず、ぼう然としてしまうシーンが増えていくのがよくわかりました。
饒舌で能天気な政治のままではいられない状況が、今後続いていくのですね。
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ドラマ「いだてん」が2019年6月2日より、総合テレビで毎週日曜20時から放送をしています! 「日本のマラソンの父」と呼ばれた日本人初のオリンピック選手の金栗四三と、東京オリンピック招致をした田畑政治の2人を主人公にした …
また1話から最終回のネタバレと感想もまとめていますのでよろしければあわせてご覧ください!