むずかしいことを考えず、「とにかく楽しく面白いものを見て元気になりたい時」におすすめしたい映画。
「夜は短し歩けよ乙女」
悪い人は誰も出てこないし、いやな展開もゼロなので、安心して見られます。
登場人物の変な人たちがとにかく魅力的ですし、舞台は京都なのに展開はファンタジーありと、見ていて楽しく、ちょっとだけあまずっぱい気持ちになれます。そしてちょっと学生時代に戻りたくなります。
また映画に見た後、舞台となった京都に行きたくなるのも、「夜は短し歩けよ乙女」の魅力です。
「夜は短し歩けよ乙女」のあらすじ
そんなとある夜、天真爛漫で自由な乙女がお酒を求め夜の街に繰り出したのを追いかけるうち、「私」は奇妙で長い京都の夜に迷い込むことになります。
京都を陰で牛耳る謎の老人「李白」や、酒豪の女性羽貫さん、自称天狗の樋口さんはじめ、友人の学園祭事務局長、願掛けのため長年同じパンツをはき続けているパンツ総番長など、一癖も二癖もある人物たちにもまれつつ、乙女の心を射止めようと奔走する「私」による腐れ青春映画です。
星野源の声優としての初出演作、花澤香菜との掛け合いが良い【感想】
原作小説がとても好きだったのですが、いつのまにか映画の公開が終わっていたので、再読を機に、動画配信で観ようと思って見た映画。
内容盛りだくさんの原作小説を、どうやって映画にまとめるんだろう？
中途半端な終わり方になってないかな…と最初は心配でした。しかしそれも杞憂に終わり、原作ファンにとっても満足な作品となっていました。
まず、とてもよかったのは、歌手の星野源さん演じる「私＝先輩」と、声優の花澤香菜さん演じる「黒髪の乙女」のキャスティングが抜群にあっていたことです。
小説で読んでいると、どうしても自分の中で登場人物のイメージが固まってくるので、それと映画とに差があると、上手く映画の世界に入り込めないことがあります。
けれど、この映画の「私」のさえない感は、まさに原作の「私」そのものでした。
そして「乙女」が、声が付くと原作を超えるくらいかわいい。こんな活発な印象だったんだなあと、新しい発見があったのもよかったです。
同じ森見登美彦作「四畳半神話大系」アニメで出てきたキャラクターやキャストの方も登場して、見ていて作品同士がつながっていくような感覚も、とても楽しい部分でした。
内容については、原作では複数の季節をまたがって描かれる物語を、一夜の話としてまとめたのが、とても上手いと感じました。見ていてほとんど違和感がありません。
「私」と「黒髪の乙女」が距離を縮める大切な場面、文化祭のゲリラ演劇では、原作でうまく私が想像できないでいた部分を映画が補ってくれ、映像化の醍醐味を感じました。他にも作品でお馴染み「詭弁踊り」には「こんな踊りだったのか…」と、衝撃を受けました。
ただ残念だったのは、やはり尺の都合なのか、原作から削られている部分も多かったことです。
原作で登場する、文化祭「象の尻」は、映像化となったら絶対に見てみたいと思っていたので、今回出てこなかったのは残念でした。
また、もう一つ、下鴨古書祭りで、「私」と「黒髪の乙女」が同じ本に同じタイミングで手を伸ばす場面がなくなっていたのも、個人的には残念……と思いながら見ていると、その気持ちをちゃんと最後には拾ってくれたので、結局は満足かもしれません。
いじましいまでに「黒髪の乙女」の目に留まるため奮闘する「私」を見ていると、妙な元気がわいてくるので、原作だけでなく映画もまた見たいと思っています。
アジカンの「荒野を歩け」とアニメの雰囲気が絶妙で心地良い
「夜は短し歩けよ乙女」で忘れてはいけない注目のポイントは、主題歌。
アジカンの「荒野を歩け」だと思います。
その結果、あまずっぱい気持ちをじんわりと広がり映画を見終わった時に心地よさが残ります。
ぼーっとしながらなんとなーく見たい時に見る映画に「夜は短し歩けよ乙女」はいかがでしょうか。
夜は短し歩けよ乙女が見れる動画配信サービス
夜は短し歩けよ乙女は、以下の動画配信サイトで視聴が可能です。（2018/06/04現在）
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