空飛ぶ広報室の動画配信はこちら！綾野剛の絶望と再生のドラマに感動。

航空自衛隊が普段どんな仕事をしているか、あまり一般の人の目には触れません。

このドラマは航空自衛隊の日々の活動を広報の仕事を通じて知ることができます。

綾野剛演じる空井大祐は、子供の頃に航空祭（という航空自衛隊のイベント）でブルーインパルスに憧れ、航空自衛官になります。

F-15戦闘機のパイロットとなり、その後ブルーインパルスのパイロットとして松島基地への転勤が決まっていましたが、その直前に交通事故に巻き込まれ、ブルーインパルスのパイロットはもちろん、戦闘機のパイロットにも戻れないという怪我を負います。

日常生活には支障がなくても、もう二度と戦闘機のパイロットにはなれないのです。子どもの頃からの夢がかなう寸前に、自分は何も悪くないのに交通事故に巻き込まれた不運。そして絶望。失意のどん底で配属されたのが広報室です。

ドラマの各回には様々なエピソードが描かれます。テレビ局のディレクターで広報室に取材に来ている稲葉リカは、報道記者だった時代の失敗から現在のポジションに異動し、それが不満です。また、自衛隊に対する先入観などから広報室でひどい言葉を発し、反感を買うこともありますが、広報室の飲み会に参加したりしながら、徐々にメンバーと打ち解けていきます。

口が上手く、驚くべき広報の手腕（というか根回しの手腕？）の持ち主である鷲坂広報室長は、年齢のわりには浮ついた人のように見えますが、実は人格者で、また妻を亡くしたエピソードが描かれる回もあります。

美人だけどガテン系で男前の柚木（水野美紀）は防衛大学校卒業後の配属先で、初の女性幹部だったためにベテランの男性部下たちの中で孤立するという辛い経験がありました。

また、ムロツヨシの演じる比嘉は、転勤の多い航空自衛隊の中で、広報の仕事を長く続けて広報に精通した者が必要という考えから、昇進試験を受けずに広報室に長年勤めています。昇進すればそれだけ給料は良くなるものの、転勤も多くなるのですが、彼のようなベテラン広報官がいるおかげで広報活動がスムースに進められるということもあるのです。

他にも個性豊かな面々に囲まれて、またリカとの出会い（最初は最悪）と仕事を通じて、事故後は無表情だった空井の顔つきがだんだん変わってくるのがわかります。空井は大きな挫折と失望を経験しましたが、周りの人たちも多かれ少なかれ、挫折や失意、悲しい過去があるということもそれぞれのエピソードで描かれています。

航空自衛隊の仕事がドラマを通じて少しでも（私を含む）視聴者に伝わったこと、また自衛官の人たちの心情も描かれていたことが良かったと思います。

子どもの頃からの夢が自分の努力によって手に入る直前（もう夢がかなうことは決まっていた）に、自分には何も非がないのに事故に巻き込まれ、一瞬にしてその夢が絶たれてしまった空井。

日常生活がおくれる程度に体が回復しても、何もする気がなくなってしまうでしょう。広報室勤務になったばかりの空井はきっとそんな状態だったのでしょう。

それはかつての上司も心配するくらいでした。それでも目の前の仕事に打ち込み、リカという存在もあって、夢を失ったことを現実として受け入れ、与えられた仕事に意義を見出してやる気を取り戻します。

絶望からの再生がここにありあます。

夢を絶たれてがっかりしている人にお勧めします。